BINTA

BOOTSFIGHT IN THE AIR

「Another」

dアニメストア見放題。全 12 話。
P.A. WORKS 作品の未視聴作をひと通り観ようシリーズ。水島努 監督作であることは観始めてからクレジットで知った。
綾辻行人 の小説原作のアニメ化作品、とのこと。山に囲まれた片田舎の学校の『3 年 3 組』に 26 年前から伝わる悪習、そのために陰惨な事故に巻き込まれたり、悩まされる生徒たちの話。
なにこれキモいグロいこわいえげつねー、と素直に思った。むごたらしい事故死や殺害の描写、流血、過剰な血飛沫、時折無造作に差し挟まれ何も触れられない少女の人形だけのカット、ジャパニーズホラー作品をはじめ実写映画のオマージュ的表現をちょいちょい入れたりして怖がるべきか笑むべきか困る演出、一方で、静寂 → 突然大きな SE、なんてベタなホラー演出もあったり。など、直接的に怖かったり意味深だったりする絵を使いつつ、この監督らしいユニークさも随所に見て取れておもしろかった。水島努 作品の中では「BLOOD-C」と同じテイストと言えるのかな。
ホラーは苦手だけど、アニメだと空気感のリアリティがやわらぐのか、「こわい」よりも「おもしろい」が上回ってたのしむことができた。いい歳してアニメ観て「こわい」もくそもないけども。
話の面白味は原作の力によるところらしく、アニメ演出的な怖がらせ方よりも、たまに一旦ある程度の謎を明かしてほっとさせた後に、別の問題や謎でまた次の恐怖に引き込む、という物語の構成がおもしろいと思った。
ケツの二話は、ホラーとは異なる別の何かの方へ話が走りだし、いやいやいやいやなにこのバトルロワイアル、などと思った。前半に散々意味深に使った人形や眼帯少女や白髪先生の不気味さは伏線としては大して機能せず、なんとなく予想外なとこに結着した感じ。『Another』というタイトルだし、最後にもうひとひねり来るのかと。あと、例のアレで、たびたび窓が気になったけど、何もなかった。
何にしてもこわいもんはこわいのでもう一度観る気はしないものの、ピーエー、水島努、さすがだと思える作品だった。

眼帯少女の CV、高森奈津美さん。
キャストクレジットを見ずとも独特の声、発音でわかった。で、序盤から最後まで、常々にゃあにゃあキャラが頭をよぎった。おかげで恐怖感をやわらげることができたとも言える。シンデレラ脳。

あと、あの悪習の正体が『自然現象』というのが、いいな、と思った。それは「ぼくらの」の並行宇宙剪定の原因と同じ考え方であり、「ぼくらの」のとても好きな要素なので。あと「蟲師」も、か。
『自然現象』・・・夢オチくらいずるい気もするが。