BINTA

BOOTSFIGHT IN THE AIR

「最終兵器彼女」

バンダイチャンネル見放題。全 13 話。2002 年放送作品。『セカイ系』で有名、という以外にはよく知らんが、観とくべきかーと軽い気持ちで選んだ。
舞台は北海道。不器用でもふつうに恋愛したいと願う高校生男女の二人が、地球崩壊規模の大戦争の最中、それでも俺たちは恋をしよう、とか泣く話。
くそ重い。どぎつい。色々と無茶苦茶。といったあたりがだいたい毎話思うことのすべて。後半、終盤に至って、強烈なエゴイズムとも言えそうな二人の恋愛観に多少引いたというか結構呆れた。アケミ の回ぐらいは感動もあったのに。
要はこれ、デパートとかで泣き叫ぶ幼児とそれをなだめる親の騒ぎの横で、対岸の火事よろしく衆目憚らずにディープキスしたり、目の前の道で人が思い切り撥ねられているのも気にせずベンチで抱き合ったりしている脳天気カップル、の超拡大解釈みたいなもんなのかな、と。その極限を探ったら辿り着いたのがこの有り様、という感じ。恋とは、燃え盛る若い男女の思いとは、実質これほどまでに盲目的なのだ! と。
極限状態、異常事態の中で変わらない日常を謳歌しようとする、という点では「がっこうぐらし!」などに通じるテーマがあるような気もした。全体的に少女漫画的というか女性作家っぽいある種の狂気が見受けられたけど原作者は男。監督が女性なので、その方の趣向が反映されたものなのかな。
ネットでひとの感想調べたら、説明不足で話が酷いとかなんとか言われていて、それはそうだと思う反面、主役二人の会話や台詞においてとにかく「ちせ」 「ちせ」 、「シュウちゃん」 「シュウちゃん」と互いの名前を、お互いが目の前に居なくても、やたらと発しまくるので、つまり作品的にも二人以外の要素は盲目的にどうでもよくて、二人の恋、二人の心の動きとか交わり方を描くことに終始しているんだな、と思った。このテーマ一点突破の猛烈なパワーだけは、他のセカイ系作品が中途半端に思えるほど凄いと思った。
が、セカイ系は最終的に突き抜けすぎて何も無くなるという馬鹿馬鹿しい結末がお約束なのか、この作品もまたそんな終わり方で、最終話ラストシーンには何の感想も出てこなかった。
シュウジ 役のひとの熱い演技は好きだし、訛りにこだわった方言の使い方もとても良かったし、ドラマとしてはそこそこたのしめたので、いつかまた観るかも。今すぐもう一度、とは思わない。疲れる。