BINTA

BOOTSFIGHT IN THE AIR

「げんしけん」

dアニメストア見放題、全 12 話。
これは 水島努 総監督ではないけども、OP / ED の映像を手掛け、一部話数でコンテ・演出を担当し、後にシリーズ続編にも関わった作品。
シリーズ構成、ここでもまた 横手美智子。OP / ED や一部話数の作画監督谷口淳一郎 が担当しており、プロデュースは ジェンコ、と「監獄学園」をつくった方々が 2004 年のこの時点で既に揃っている。
とある大学にある数多のサークルのひとつ、アニメやマンガやゲームなどオタクカルチャー全般を扱う『現代視覚文化研究会』で活動する学生たちの話。
なんだこれ、すごくおもしろい。こんなにおもしろいものだったとは。たしか本放送時に何らか噂は聞いていた気はする、が、こんなにもとは。本題であるオタクカルチャー云々の作中での扱いについては正直どうでもいい。単純にコメディドラマとしておもしろい。現行「のんのんびより」で特徴的な、不自然なまでの長い静寂の間を多用した笑いは、多少趣は異なるけれど、ここで既に先人がやっていた。その沈黙から生じる根暗感が各キャラクターの病的に残念な人間性の演出にうまいこと調和していて、尚且つとても可笑しい。特に水島監督回の 春日部さん と 斑目 が二人きりになる話は、ほとんど 斑目檜山修之 の一人芝居染みていて物凄かった。緊張の中で早口焦りテンションのモノローグを重ねる面白味は「監獄学園」の ガクト に通じるものがあったように思う。
これは観るべき作品だった。本放送時に観ていたら、その後の趣味嗜好にかなり影響したかもしれない。いや実際影響したとして、その十年後は今現在と大差ないか。

2004 年というと、調べたところ I've にはまった年らしい。
その趣味の都合上、その当時は秋葉原に足繁く通ったり関連限定 CD 入手のために稀にコミケに行ったりもしていたので、この作中で描かれる 2004 年時点のアキバの見覚えのある店構え、内装やら、コミケに向かう感覚など、色々感慨深いものがあった。