BINTA

BOOTSFIGHT IN THE AIR

「げんしけん二代目」

バンダイチャンネル見放題、全 13 話。
水島努 監督作ひと通り観るシリーズ、見放題ではひとまずこれで最後。
2013 年放送。大学のオタクサークルのひとびとのアニメ、テレビシリーズ 3 期。原作の 木尾士目、シリーズ構成の 横手美智子 以外、スタッフだけでなくメーカーも音楽関係も更には声優陣までも総入れ替え。
1 期の主要キャストであった男性キャラ陣の声の変わりよう、特に 斑目 と 田中 の声は最後まで違和感が拭えなかった。
2 期で新メンバーだった 荻上 が会長になってまた代替わり。新たな声優さん方の事は細かく書くと長くなるので端折るけど、他の 水島努 作品に出演経験済み or この後の作品に出演 or 常連の方々、つまり監督の馴染みの方々が脇キャラ含めていっぱいいる、と思った。
2 期では同人誌制作とその周辺でのサークル内人間模様が主だったけど、今作ではもうほぼラブコメが主軸となり、現視研らしい活動模様は添え物扱い。女装趣味の男子、波戸賢二郎 が話の中心に居ることが多く、主人公っぽいので、作風としては両性具有・性同一性なんたらモノとか特殊体質の瞬間性転換モノのラブコメに見えなくもないと思った。有名どころだと「らんま1/2」とか、自分のよく知る作品だと 奥浩哉「変」とか、あろひろし「ふたば君チェンジ」とか。その手のノリが、特に前半はある、あったな、と思った。
しかし後半は、ただの OB のちょい役かと思っていた 斑目 がほぼ主役に。近年の水島&横手作品らしい見せ方で泣かせにくる 11 話はすごかった。1 期から通してのこのサークル大河のクライマックスとも言えそうなほど、というかなんだ 斑目 がずっと主役だったのか、と思うほど、そこんところの結着の付け方と、そこの台詞、芝居、間、絵、その直後にいつも通りに流れる ED テーマの憎らしいくらい染みる歌詞と、すべてがよくできていて、泣きはしないけども、強力にぐっときた。
他は、やっぱり 1 期に比べるとおもしろい話とは思えなかったけども、2 期同様、続編が観たいという欲求を満たすには十分な作品だと思った。欲を言えば、笹原&荻上 の方の話をもっと観たかった。あと、スー はなんだったのか。とてももったいないキャラだと思った。


水島努 監督作品を大半観てきて、思うのは、作画の乱れがとても少ないというか、乱れ崩れがほとんど見当たらない、目立たないのは、すごいなと。
よくよく観察してみると、例えば「よんでますよ、アザゼルさん。Z」の後半などに顕著だけど、望むべき作画が間に合わないようであればもうキャラデザから崩してしまう、極端にデフォルメ化したり、敢えて落書き並みかそれ以下の画風にしてみたり、そういう手の抜き方を工夫しているらしいことはわかってきた。デフォルメや落書き風を有りとするためにギャグやコメディ作品の制作を選びがち、なのかな、とも。でも、だからこそ力を入れたらしきシーンやカットは見応えがある。
贔屓目の過大評価になっている気がするけども、その力の抜き差しの仕方が作品全体のリズムになっているようにも見え、そのリズム感が自分にとっては気持ちよくて、この作品、この監督、好きだ、と思うのかもしれない。
残る「おおきく振りかぶって」と「ウィッチクラフトワークス」もいずれどうにかして観たい。