BINTA

BOOTSFIGHT IN THE AIR

電気グルーヴ のブルーレイ

「DENKI GROOVE THE MOVIE?」と「塗糞祭」、買った。観た。

ザムービー。

結成からこれまで二十五年の活動ヒストリーを、ライブ映像を中心にまとめ、各時代に 電気 に携わった元メンバーや関係者のインタビューを交えて送る。ムービー、ではあっても、映画ではない感じ。副題に「〜石野卓球ピエール瀧〜」と銘打たれてはいるものの、二人自身の撮り下ろし映像は無く、ただただ過去の映像だけが使われている。
といった内容である旨が、公開前、制作中から告知され、宣伝されていたものの、未だ 90 年代、オールナイトニッポン の頃の 電気グルーヴ こそが 電気 らしい 電気、と捉えている自分は、きっと、やらかすに違いないと思っていた。予告も宣伝もバッサリと切り捨てて客を無遠慮に裏切る、嘘ヒストリーと嘘インタビューだけで塗り固められた嘘100%の120分。伝説の オールナイトニッポン 2 部の嘘最終回のような内容を期待していた。ブルーレイにもなって、パッケージに書かれていることも予告や宣伝と同じだけど、そこまでして嘘をついているに違いない、と。
観たらば、全然まったく、予告通りの内容だった。前身の 人生 時代にも触れつつ結成直後のライブ映像から始まるそれは、小洒落た英語のナレーションも含め、劇場公開に似合うようにつくられた、ちゃんとした内容だった。それはそれでちゃんとおもしろかった。中山道彦氏、天久聖一氏のインタビューなど、とても興味深くおもしろかった。ラルクアンシエル云々のくだりとか。CMJK、まりん もよかった。KAGAMI の死に触れているのもよかった。
おもしろかった。楽しめた。けど、残念だった。どんな嘘企画を盛り込んでいるのか、と期待しすぎた分、余計に。一方で、こうしてふつうのミュージシャン映画をふつうにやるのが現在の 電気グルーヴ であることもわかってはいた。おもしろいことはおもしろいままに出す。裏切るのは正攻法で出した上でやる。「電気グルーヴ25周年の歌」の何の記念も歌っていない酷い歌詞などがその良い例なんだと思う。若い時は、つまり若いから、結構どんなに酷いことをやっても、裏切っても、なんとなくかっこよく見えてしまう。四十代の今は、もう見た目にかっこよさは薄れ、むしろ 電気グルーヴ を二十五年もやっているおっさん二人、という佇まいがおもしろいので、それ以上に無理する必要がない。電気グルーヴ 二十五年のおっさん二人が、ふつうのかっこいいことをするのがおもしろい。そういう感じが今の 電気 なんだと、わかってはいた。でも、やっぱり、残念だった。
嘘映画ではない、という以外にも残念なことはあった。メジャーデビュー当時の 電気 を語る上で欠かせないはずの「オールナイトニッポン」のことにほとんど触れていない。そこを語り出すと 120 分じゃ足りない、或いは劇場サイズに似合うエピソードではない、ということからの判断なのか。偽長嶋事件は有りなのに。また、オールナイトニッポン 絡みでもある「子門'z」や「ドリルキング」関連のことは一切触れられていない。これは致命的な欠点だと思う。
要するに、タイトルに「石野卓球ピエール瀧」と銘打っているのに、ただの「エレクトロニックミュージック系のバンドとしての電気グルーヴ」の活動しか追っていない、という点が、自分は気に入らないのだ。と今気づいた。音楽活動のみを追っている割に、「KARATEKA」〜「VITAMIN」間で音楽性の変化が垣間見える「FLASH PAPA MENTHOL」のことが割愛されているのも気に食わない。
この映画は、この大根何某という監督が思う「電気グルーヴとはこういうもの」をまとめた作品、だと思うしかない。きっと別のひとがつくったら、またちょっと違うまとめ方になると思う。でもそれも気に食わないものになると思う。たぶん、電気 の二人自身が監督したものでないと納得はしないのだと思う。ひねくれた 電気 ファンはだいたいそんなもんだと思う。
とか、だいたいそんなことを思った。
ライブ映像間にちょいちょい挟み込まれる楽屋などでのオフショットは、全然ライブの内容と関係ないどうでもいいことばかりで、その映像チョイスについては良いと思った。今の要るか?と、笑えた。

DENKI GROOVE THE MOVIE? ~石野卓球とピエール瀧~(初回生産限定盤)(Blu-ray Disc)

電気 ファンとは言うが、オールナイト 2 部を深夜にたまたま聴いて知って「UFO」の頃にはまり、例の PATiPATi の電気本や テクノボン など買ったし、「電気グルーヴのテクノ専門学校」も買ったし、でもアルバムは買ってもシングルはあんまり買わなかったし、アナログ盤も買ったことないし、「PARKING」買ったけど無くしたし、「A」のあと「電気グルーヴ×スチャダラパー」までファンでない時期もあったし、そもそも肝心のライブには未だかつて一度も行ったことないし、オールナイト は何度も聴き返すものの他の出演ラジオはほぼ追わないし、それぞれのソロ活動にはあんまり興味ないし、そういえば 電気 の前は エックス ファンだったし、
という自分みたいなやつは、人生 時代からのひとやファンクラブに入るほどのコアなファンからしたら全くの ニワカ もいいところなんだろうな。案外、そういう方々にはこの映画も納得の出来、なのかな。

オーディオコメンタリーはまだ聴いていない。

とふんさい。

一応観たものの、電気 を観る気分ではなかったため、上の空だった。