BINTA

BOOTSFIGHT IN THE AIR

「SAMURAI 7」

バンダイチャンネル見放題。全 26 話。
クロサワ作品「七人の侍」のアニメリメイク作ということで、前から気になっていたやつ。本放送時は、黒澤作品どころか映画にまったく興味がなかったし、アニメ趣味もなかったので観ているわけがなかった。ここ数年、原作映画は DVD で年に一回は観ており、アニメの楽しみ方も知ったので、下準備は十分だろうと。
感想。前半はよかった。それなりに原作に沿って、うまいこと作っているなあ、と思った。しかし、前半クール最後の 13 話で原作の最終日の戦いっぽいことをやっており、かなり不安になった。
で、案の定、後半はとても残念だった。ストーリー、展開はほとんどオリジナルとなり、根幹のテーマも原作とずれた感じ、作画も回を追うごとに酷くなり、ラストのカタルシスもどっちらけ。がっかり。
未来世界、ロボ侍、移動要塞、鋼鉄を豆腐のごとく切り裂き、ビーム砲を一振りで跳ね返す刀、など、アニメ化ならではの要素は、有り、としても、キャラクターに関する改変には色々と許容しがたいところがあった。
カンベエ、若いのはいいとしてヒロインに惚れられるのはどうかと思った。
ゴロベエ、原作では一度しか発さない台詞を、折にふれて決め台詞のごとく使うのが、寒い。勘兵衛の右腕、参謀なのにあっけなく死ぬのは原作通り。しかたない。
シチロウジ、加東大介の面影無しの長身二枚目。でもわりと原作通りと言っていい方か。
ヘイハチ、原作では目立った活躍ないまま最初に死ぬのに。機械いじり能力が必要なので生かされたのか。お米大好きは意味不明。
キュウゾウ、最も改変の酷いキャラクター。基本の人間性はそうでもないけど、戦う理由と死に方が全然違う。特に死に方が酷すぎる。原作冒涜も甚だしい。誰がこんなことを許したのか。最終話前の 25 話でのそのシーンで、引いた。冷めた。それと、仲間に加わる前の名シーンの再現がなかったのも残念。無益だ。
キクチヨ、原作では自分で「きくちよ」と名乗ることは一度もない。その他の改変はまあまあしかたがない。三船敏郎 の再現は不可能。ロボットにしたのもそういうことだろう。がんばった方だと思う。
カツシロウ、最も別人化したキャラクター。なぜ美少年。ヘイハチ 程度の薄味キャラで十分再現できたろうに。こいつが活躍すればするほど、話は原作から離れていき、最終的に全く別物となった。そこに自分の好きな「七人の侍」はなかった。
原作を知らず、単独のオリジナル作品として観ていれば最後までもう少し楽しめたかもしれない。
でも作画は大事だな、と思った。23 話なんかは酷すぎて、ほとんど画面を正視していられなかった。絵が駄目で観ていられない、ということがあることを知った。
たぶん二度と観ない。完璧すぎる原作を観る。