BINTA

BOOTSFIGHT IN THE AIR

夏アニメ終1

下ネタという概念が存在しない退屈な世界

全 12 話終了。公序良俗に反する行為、発言、物品の所有が禁じられた近未来の日本、その圧政に反旗を翻し、低俗なテロ活動を始めた学生組織の闘いの物語。
最初は、ひどい、どうかしている作品だと思った。最終的にも、どうかしている作品ではあった。揺るぎなく。発禁レベルのエロ表現が暴走する上っ面の描写こそくだらないものの、その中で言わんとしていることは至極真っ当、太く硬く筋は通っていて、これを地上波テレビアニメとしてやるということも含めて気骨ある作品だった、と言えると思う。
ただ最終話ラストがちょっと締まらない感じがしたし、BPO かなんかに放送打ち切りさせられることを危惧したのか
途中の話数で何度か最終回っぽいきれいなまとめ方をしていたりしたので、一本のアニメとしては少しガタガタした印象は残った。そういう意味では、こんなアニメを1クールやり切っただけでも凄いことなのかもしれない。この作品が凄いのと、放送をやめなかった方々の器が凄い。というか、途中明らかに、倫理審査に引っかかることは覚悟の上とでも言わんばかりにドひどいことをやっていたので、むしろ誰か止めろよと思ったりした。笑いながら。
劇としては、やっぱり主要キャラのテンションの高さがよかった。華城先輩 / 雪原の青 の清々しく溌剌とした下ネタ台詞の発声をはじめ、アンナさま のぶっ壊れっぷり、その他みんな真剣にアホで可笑しい。また、狸吉 以外は全員ボケキャラで「下ネタという概念が存在しない」という前提に則って無自覚な行動が全部下ネタボケになるっていうのもおもしろかった。そして 狸吉 の怒り気味のツッコミも非常に良かった。他の下ネタ系アニメだとツッコミが残念で冷めることがよくあるけど、この作品では小中学生レベルの下ネタでも 狸吉 のツッコミで笑える、ということが毎回あった。台詞といい間といい、よかった。
あとはとにかく声優さん方に拍手。
石上静香 かっこいい。小林裕介 いい塩梅。松来未祐さん お大事に。


GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり

第 1 クール 全 12 話終了。現代、日本・東京に突如として現れた、異世界への扉(ゲート)。そこを通して銀座に現れたファンタジックな異世界の魔物軍との戦闘をきっかけに、異世界=通称“特地”で活動することになった日本の自衛隊員たちと、様々な種族が共存する特地の現地民との交流の話。
タイトルからして最初は異世界異種族同士のバトルものなのかと思ったけど、そういうのは話を構成する要素のひとつに過ぎず、本筋としては現実的社会的な人間・日本人と特地の異人種・異種族、それぞれの生活文化とか考え方の違いから生まれる小さな出来事とか、お互いの文化に触れることで沸くカルチャーギャップなどで各キャラクターが見せるリアクションや政治的な動きなどを楽しむ作品だった。
その中にあって、主人公 伊丹 のキャラクターの力の抜け具合がおもしろく、周辺キャラクターは現実味の薄いフィクションらしいやつばっかり、でもそれを取り囲む自衛隊の上の組織とか日本政府とか諸外国とかはある程度リアリティを考慮した感じになっていて、世界とは別に同じ種族間でもギャップがあるのがとてもおもしろいと思った。
アニメとしてはそういった交流や摩擦の様子を丁寧に描いているだけであって、他に余分な要素は見られず、堅実な作品だと思った。最後の 12 話で、うっすらとセカイ系的展開になりそうな雰囲気があって、来年の 2 クール目がちょっと不安になったけども。


ワカコ酒

全 12 話終了。酒飲み OL ワカコ が仕事帰りの居酒屋で一人、つまみ肴について脳内薀蓄垂れながら一杯ぷしゅー、の 2 分アニメ。酒が飲みたくなった。
沢城みゆき の妙な貫禄、含蓄あるように聴こえる台詞回しが心地よく、中身は特に深いものなどなく、翌日に抜けてしまうアルコールのようにたいして何も残らないからこそ良い感じだと思えた。この調子で 10 分尺くらいあってもよかった。
あと主題歌。欲しいのに配信に無い。それだけが不満。


洲崎西 THE ANIMATION

全 12 話終了。豚リスナー用アニメ。でした。おわり。


がっこうぐらし!

全 12 話終了。おはようからおやすみまで、毎日学校内で暮らし続ける部活、『学園生活部』に所属する、とある高校の女子生徒 4 人の日常生活話。
ショッキングな 1 話から、じわじわと首を締め付けていくようなゆっくりとした展開を続けて、慎重に石橋を叩きながら渡ってきた、そんな印象。を経ての最終話。どう転んでもバッドエンド、それでいいから納得させてくれ、安易に健全無事なハッピーエンドは想像するだけで寒い、と思っていた。蓋を開けてみれば、後者、拍子抜けするほどにあっさりと。でも意外に、想像していたほどがっかりせず寒さもなかった。
要するに、社会構造の中での「学校」と若い人生においての「卒業」といったあたりが恐らく元々根本のテーマで、それを前向きに描くためには、最終的に、生き延びて終わる必要があった、ということだと自己解釈。取り込まれて、食われて負ける人生も往々にしてあるので、バッドエンドを望む感覚というのは、駄目な現実を生きている自分のある種の妬みみたいなとこから来るもんなんだろう。みんな助かって空が晴れた場面では、あー助かったかー・・・と安堵とも落胆とも言えない感覚になった。
続いて、安易に動物で泣かせにくる反則技。きたない。あざとい。泣いたけど。それは感動じゃない。かわいそうっていうだけ。最後の卒業式以降の流れは、よかった、んじゃないかな。ファンサービス的なラストカットまで、締め方としてはきれいだと思った。
なにより、全体を通して基本的に学校〜登校距離圏内で話が完結しており、余計なところに話を拡げず、セカイ系みたいな方向にも行かず、人間のアイデンティティがどうの命がどうのみたいな哲学的な匂いもさせず、ただただ『危機的状況下での学校生活』のみに終始しているのが、良かった。この感じで続けるなら続編も観る。

いくつか疑問は残る。
ゆき の放送室の声は 奴ら にどうして聴こえたのか。停電しても非常電源が生きていたので放送設備が使えた、と見ればいいのか。ゆき には不思議な力があって、最後の土壇場でその力が発動してそれが放送のスピーカーを発振させて学校中に響いた、という感じにも見えた。
ゆき の制服の色が他の 3 人と違うのは何だったのか。
OP や ED の映像中、ゆき 以外は既に or 最終的に 3 人は・・・みたいな変に思わせぶりなカットを使っていたのは何だったのか。
通常 ED で夕暮れの川沿い、潰れた めぐねえ の車は何だったのか。ラストシーンと合わせて考えるとこの最終話後の姿、ということなのか。
まあいいや。