BINTA

BOOTSFIGHT IN THE AIR

冬アニメ終了1

感想。以下、観終えた順。



ダーウィンズゲーム
最初に感じた「GANTZ だな」という既視感は最後まで拭えず。主人公補正で無闇に強かったりハーレムめいた状況が形成されたり、トップクラスのプレイヤーから揃って一目置かれたり、まあまあよくあるご都合な流れ多数。駄目ってわけではないけど。大半はおもしろく観られたけど、鬼滅 と同じようなもので、この作品独自のものとしてどこが良いのかと考えると、どこも無さげ。要は少年マンガの王道的なものの一種であり、筋がそれであってキャラが違うだけ。情報屋のコとか氷使いのコとか植物使いのおっさん辺りが、能力と共に良いキャラクターだと思った。
あとは脚本的に気に障るところがあまりなかった。良かったわけじゃなく、無難。及第点。アニメとして毎週観るのに苦じゃない。毎週はやってなかったようだが(皮肉)。
しかしやっぱりどこを取っても GANTZ と比べてしまう。あの類似の先達がこのジャンルで無茶苦茶やりすぎたから、後発作品は可哀想だ。



痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。
防御力特化でどこまでどう強く戦い抜くんだろう、なんてことを最初の頃は考えていたが、中盤に反則的な 機械神 やら 暴虐 の怪物やらの能力を得た辺りで、戦い抜くもくそもねえなこりゃなどと思わされ笑うほかなかった。
無茶な能力を得てただ強くなっていく様を見せるだけかと思ったら、後半はギルドとしての活動が主になり、バトルもそれなりに描かれて・・・だいたいメイプルの化け物っぷりで突っぱねるだけだったが...、そんな出落ちで終わるような作品ではなかった。
異世界転生モノではないので、ゲームから離れた現実の描写がたまにあるのもよかった。こんなやつありえねえよって思いが現実を描くことで、ああゲームなんだからまあね、ってマイルドに緩和されて笑えるような感じがあった。
あと、石田彰とか皆口裕子とか、ひと声聞いただけでわかる豪華ベテラン声優が地味な脇役で出ているのもおもしろかった。
ストーリーおよびメイプルの成長としては既に行くとこまで行き着いた感あるけど、2期やるのか。



恋する小惑星(アステロイド)
所詮きらら枠、つまらなかった。合わなかったと言っておくか。きらら枠で気に入った作品なんて過去にも無いんだから観るべきものではなかったのだ。小惑星とか天文とか地質学とかおもしろいのかと思ったが、美少女のキャッキャウフフがメインでは頭に入って来ず面白味もわからなかった。



ランウェイで笑って
今期トップ、1話からずっと揺らぐことなくこれ。ストーリー、脚本構成は群を抜いていた。漫画原作モノということなので、要するに原作が良いってことだ。
玄人や強力なライバルからは一目置かれて、話の上では力も存在感も示すものの、作中ここぞという勝負では身の上の未熟さからことごとく負けてしまう。モデルとデザイナーの話でありながら要所要所で熱く盛り上がれたのは、そんなバトル漫画の王道のような展開があったおかげかと。貧乏家庭だとか病弱で薄命そうな母親とかは過剰な感動煽り要素で不要な気もしたけど、天才的才能を秘めた都村育人を逆境に置いて成長させるためには有りな設定だったのかも、とも思えた。主人公声優が同じ 鬼滅 で言うところの、炭治郎 の家族を皆殺しにしておかないと話に火が点かないようなもので。そういや、ライバルや仲間が本人の意思とは関係なく増えていくのも鬼滅風なところあったかも。要するに、デザイナー育人目線の物語としては、バトルものっぽかった。
それはそれでおもしろかったが、自分としては藤戸千雪の方の話が好きだった。八方塞がりの壁に立ち向かってはうちひしがれて、でも折れても折れても立ち上がって、弱気を垣間見せながらも強くて笑っていて、キャラとしてのルックスも含めてとても可愛いと思った。
最終話では育人側で高校生デザイナーの現実的な結果を見せる一方、千雪側ではフィクションらしい夢物語とも希望とも言える決着をつけて、好対象でいて二つの話を同時進行させているからこそできるおもしろい展開だと思った。バトルな育人側を現実的な結果に落とすことで続きも描きやすくなる、ということもあるんだろう。最後にもう一度タイトル回収であるランウェイ上で笑うシーンが欲しかったが無くて残念。2期に期待か。
あと作画面が惜しかった。特に最終話など。いいところでこれ・・・って本当に惜しい。時期的なものか、いやいや最終話納品はコロナ騒動前だろう。作品がもう少し世間的に評判になっていたら違ったのだろうか。モデルとデザイナーの話なんて、と普通は思うし自分も最初思ったから、目を向けられにくい作品ではあるだろう。でも SHIROBAKO 等のお仕事モノ的な熱と、鬼滅 とは言わないまでも ノゲノラ 等の思考バトルモノ的な熱を併せ持ち、二つの味が混ざることなく別々に楽しめて且つ合わさった部分もまた違う味でおいしいという、稀有な良作だと思った。
まあ過言、誉めすぎかもしれない。が、注目度低いのが悔しいので単純に推したかった。



ソマリと森の神様
最初の印象はかなり良かったが、ソマリとゴーレムの親子愛が強調されるにつれてだんだんと、わりとよくある父子家庭ものドラマなんだなという感じになっていった。ソマリの本当の両親を探すことを目的としたロードムービー的なものと思って見ていたので、多少勘違いしていたかもしれない。種族が違ったり家庭環境が壊れている場合において、他者との関わり合いの中で親子の絆はどう有りえるか、どう有るのが理想的か、みたいなところが本題だったようだ。そういうのは実写のテレビドラマでやればいいっていうか幾らか前例を知っているので、その観点で言うと、つまらない。最終話もソマリの両親と再会するなり消息や末路を知るなりして、同時にゴーレムは動かなくなって、形見に壊れた体の一部でも手にしたソマリがお父さんのこと忘れないずっと一緒だよっとか言って終わるもの完結するものと決め込んでいたので、「活動限界 不明」とか都合よく続編作れるようにした感じのこの締め方は率直に言って気に入らなかった。泣いたけど。泣いたけども、泣いたのは水瀬いのりの熱演に感じ入ったからであって、話には全然感動できなかった。
続編があっても観ない。とは言い切れず、恐らく観るだろうが、感動したでしょ?好きでしょ?などと思われたら不本意でありむかつく。
要するに、美しすぎる、美談すぎる流れであったのにそのままきれいにまとめず、最後に金のニオイを臭わせてしまったのが、嫌。自分が勝手に嗅ぎ取って臭がっているだけなのだが。



宝石商リチャード氏の謎鑑定
毎話オムニバスの宝石鑑定相談話かと思ったら、主人公二人のバックボーンが面倒なことになっていて後半はその掘り下げと家族関連の話のみになったのが予想外だった。
その主人公二人、リチャードと正義の友情とも同性愛とも似て非なるような不思議な信頼関係が話数を重ねるごとに厚く熱くなっていくのがおもしろかった。リチャードの冷淡なようでいて人間味があって情の深い言葉は、櫻井孝宏の声の味も加わって、特に終盤三話くらいかなり感動させられた。最後の締め方だけで言えば今期で一番良かった。
まだまだ扱っていない宝石はたくさんあるはずだし、正義と谷本さんの恋愛模様でもなんなりと話はできるはずなので、続編いけるはず。



歌舞伎町シャーロック
悪くない。わりと好き。おもしろいと言えるが飛び抜けておもしろいとは言えない。結局最初から最後までそんな感じが変わらなかった。
2クールに渡っての前半は各話オムニバス的な探偵話+その裏で起こっている切り裂きジャック事件の成り行きと解決まで、後半はその解決に伴って狂いだした一人の少年とそいつによる数々の事件を描いたわけだが、このかたちはざっくり言えば「ケイゾク」と同じ。今や二十年も前の刑事ドラマであり、似たような作品は他にもあるのでその類似性を云々言いたいわけじゃない。ああそのパターンだったのね、それなら既視感あって飛び抜けてくる印象にもならないのは自分的に納得がいく、というだけ。ゲストキャラの危なげなネーミングやちょいちょい入る小ネタもケイゾクというか堤幸彦風味があったっけ。歌舞伎町を舞台に落語を入れたりオカマバーが拠点だったりという基盤のふざけた要素もまた同じく。たぶんそういうド直球のオモシロとはズレた、少ししょうもない感覚が最も好めたポイントであり、2クール飽きずに観られた要因だと思う。
落語は必要だったのかどうかわからないが、筋だけ見ればサイコパスな内容で、このポップな画調にしては昨今珍しく登場人物がガンガン死ぬ作品だったので、猟奇的な風合いを少しでも相殺して放送に適すようにと考えたら、こんなものにもなるのかなと。しかし最終話ラストの落ちとか、要所で感動の邪魔をしていたのは功罪でもあった。
探偵話だけなら続けられるだろうけど、この探偵長屋の話としてはやり尽くしたと思うので続編はなさそう。視聴者的にも十分だ。