BINTA

BOOTSFIGHT IN THE AIR

粛々

芸能人やミュージシャンなどが次々ユーチューバー的活動を始めているようだが、その波がよく知っているミュージシャンや伊集院光レベルにまで波及しているのを知り、なんだかもやっとした。

これまで当たり前にできていた通常の作業が満足にできなくなって、テレワークできるとかそんな仕事でもないから、空白になったスケジュールがすべて余暇に変わってしまうというのはわかる。だからしかたないとも考えられる。でもだからってなぜユーチューブなんだろう。この期に及んでまで、芸能人らしい仕事にこだわって自身を露出しての演芸をやりたい、それしかできないというひともいるのだろうが。本当にそうなのだろうか。他に何もできないのだろうか。

規模は小さいながらも芸能人としてこれまでのテレビ等での活動と変わらない姿を見せることで自分を見てくれるひとたちを安心させたい、という考えなんかもあるんだろう。
あと、震災とかと違い外出や他人との接触を控えなければならないため、ボランティアのような仕事はやりにくいし必要とされることが見つけづらいということもあるだろう。

しかしだからといって、急ごしらえ丸出しで練り上げられた様子もない、事前準備すら雑なことが窺える、我が身ひとつが芸でございますとでも言いたげな、言うは易いが一目見た感じでは数多の素人配信者と大差ないまたはそれ以下にも感じられるような歌や喋りを聴かせつつ、視聴者コメントと戯れる。そんな云わば遊んでいるにも等しいことばかりでいいのだろうか。本当に他に何もできないのだろうかこのひとたちは。

外出自粛が叫ばれ、世が未だ平常を取り戻すに至る兆しも見えない中、自分は不要不急かどうかあやしいただ単にわりとブラックに近い職場に勤めているがために自粛したくてもできない。ゲームしたり絵を描いたり曲つくったり、いざ自粛休職となればやりたいことは色々あるのにそうできない。
一方で、緊急事態以前の平常時ですらも不要不急な芸能でやりたいことをやって、そんなおしごとで平均的に一般職以上の稼ぎを貰って好き放題暮らしているひとたちが一般人並みに休業して遊んでいる。自分はただ単にそれがくやしい羨ましいだけ、という短絡的な感情からくる思いでもあるということは自覚しているけれど、だが、しかし、でもよー、本当に他にできることはないのかあんたら。

ユーチューブでおもしろいやつはそんな芸能人以外にも五万といるし、なんなら殊ユーチューブに関しては素人がやる方が嫌味がなく、芸能人がやっていると何か金とかそんな嫌なニオイがしてきて、もやっとする。実際の稼ぎについては本職ユーチューバーの方が上であるとしても。
じゃあそんな芸能人たちが今ほかにやるべき好ましいことってなんなのか、と問われると何も思いつかないのだが。応援歌やチャリティーソングだとか言って真面目な社会目線の歌をうたわれても寒くて白けるとは思うし。

結論、なんか、なんというか、好意的に見ていた芸能人やミュージシャンがこんな状況下ではこんなに無力で醜態をさらすことしかできないひとたちだったのか、みたいな感覚があって、要するにがっかりしたんだな。

あと、アーティストやらライブハウスやらが先行き立ち行かない状態になっているから支援をしてほしいとかいう声もどうかと思う。
あんたらそれ好きでやってた仕事だろ。一般職よりも不安定で売れなかったとしても食えない時があったとしても、好きなことを仕事にするんだからやむを得ないと腹を据えて就いた職だろう。
国が支援してくれないのはみんな同じこと。芸術やら心を豊かにする作品などが生活に必要だという言い分に文句はないが、それとこれとは別。

そういえば、あと。支援がない、働けないというのは多くのひとが同じ。でも地主や不動産管理者、賃貸物件の貸し主側は変わらず賃料を徴収できるってのは納得いかない気がする。
こんな状況で家賃やローンの督促で首が回らなくなって息が止まる日を待つしかないのだろうか。督促とか取り立てとか当面禁止にしてもいいのでは。税金も含めて。まあ無理だろうけど。


医療従事者が不足し、政治家は仕事の遅い間抜けばかり、ということなら、この世に溢れ始めた暇人どもは医療や政治の勉強をしてくれりゃあいいんじゃないか。情報を仕入れて文句を垂れる暇があったら、その文句を出さない世にするために変えるよう努力してくれりゃあ、がっかりなんてしないだろうし尊敬もできようというもの。
そんなに言うならおまえがやれば。
私は明日も変わらずいつもの仕事がある。
暇ではない。
休暇は休暇で好きなことをする。
みんながんばろうおつむ病弱ニッポン。