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秋アニメチェック2

今期は過去に一度アニメ化された作品のリメイク新作的なやつがある。過去のシリーズは観ていないけど一新されたのなら観てみるか、という気分になったので今回はそれら。観てみた以下。


ひぐらしのなく頃に

雛見沢という田舎の山村で起きた殺人事件にまつわる不可解な騒動に巻き込まれた少年と、それぞれ鍵を握る村の少女たちが繰り広げるサイコホラー含みのミステリー。

00 年代を代表するオタクコンテンツのひとつ。当時全く興味のなかった自分でも折りに触れてその人気ぶりと話題を目に耳にした。アニメは観なかったが当時は I've Sound の音楽にはまっていたので島みやえい子が歌う主題歌の CD は買っていた。
本放送時、00 年代当時はそんなだったが、昨今 10 年代後半からアニヲタ的嗜好に傾いているので、観たのだ。旧作のを、最近。と言ってももう一年前とかか。一通り観たら「一気見」カテゴリでここに感想を書くのが通例だが、シリーズが長く幾つもあり全部は完遂できず、良い感想も持てなかったので何も書いていなかった。
具体的には無印全話~「解」の途中、皆殺し編だか祭囃子編だかまで観て、もういいやってなった。なんか後発の作品で観たことのある話だし、幾らかネタバレの情報を得てしまったりもして、なんだループものかーと呆れた感もあり、謎の数々もさして気になることなく、キャラにも惹かれないどころか 00 年代らしいキャラデザに抵抗もあり、等々の理由で次第に最後まで観ようという気が失せていった。
理由は何であれ、要はだから本放送時に観ていないのも頷ける、観ていなくて OK な作品だった。という結論に落ち着いたのだった。

じゃあなんで新作を観ようと思ったのか。
ひとつには絵柄、今のアニメのトレンドに寄せてリメイクするならあのオリジナルのキャラデザの気持ち悪さが多少なりとも払拭されているのではないかと思った。
で、キャラデザさえ問題なければ話にももう少し没入できるのではないかと思った。リメイク=一度既に知っている話だとしても大丈夫、いや知っているからこそ楽しめるんじゃないかと思った。

その予想は当たらずとも外れてもいなかった。
まず声、主要キャストが旧作そのままということに少し驚いた。なんとなく芝居が固いような感じがしたが、旧作でもいまいち好みでない感じだったのでこれは元からそのように演出されたものなのだろう。明るい日常会話の裏にある不穏な空気を醸すためにそうしているような。
話は、旧作にハマらなかったこともあり既に細部まで覚えていないけど、元の無印の1話で同じのを観たような気はした。最後のナタ持ち出してくる夕暮れとか。冒頭から惨殺シーンがあったか憶えがないが、構成を変えているとしたら当然何かの伏線であり、もっといえば旧作とは別作品としながら特殊な繋がりを匂わせるもの、かもしれないと思った。
問題のキャラデザ。旧作の特徴を残しつつ、絵から気持ち悪さはほぼ感じない、今風かどうかわからないがそれなりの絵柄だと思った。でも観ているとやっぱりどこか気持ち悪かった。それはなんなのかと考えたら、結局この作品の登場人物が気持ち悪いってことなんだろうと思った。先に述べた声優たちのどこか妙な固い芝居も含めて。

声優を変えない、演技も芝居も従来の延長、そういえば主題歌も島みやえい子のそのまま同じ曲だった。大枠をそんなに変えないのに、リメイクする意味とはなんなのか。絵だけ変えて観やすくしますって企画に金を出して作らせる会社も今の世の中無いだろう。
調べたらこの作品、正式にはタイトルが「ひぐらしのなく頃に業」と称されているらしい。要するに、諸々ひっくるめて何か仕掛けがあるんだろう。
長々無駄なことを書き連ねたが、結論感想としては気持ち悪いし別段好める作風じゃないし、観たいものではなさそう。でも話題になる瞬間を見逃したくないので、一応観ておく。
そうして不純な動機で観た作品が話題になったためしがない。不純だからと切った作品が大抵当たる。世の中他のアニメ視聴者は不純なのだ。


ドラゴンクエスト ダイの大冒険

モンスターばかりが棲む島でモンスターたちに育てられた人間の少年ダイが、戦闘や仲間との出会いなどを経て成長しつつ勇者になることを目指して冒険していく話。
説明不要、RPG の代名詞的にも語られる国民的大ヒットゲームを原作に、独自アレンジを加えて漫画化、80~90年代の週刊少年ジャンプ黄金期の一角を支えた人気作品。の三十年ぶりの再アニメ化だそうだ。なんで今更感。

原作が連載開始した当時は小学校高学年くらいだったか中学生になっていたか、忘れた。たしか最初にアニメ化された時には既に音楽とか他のことに興味が移っていてアニメなんてほぼ観なくなっていたはず。だからその旧版アニメをまともに観た記憶がない。
漫画の方も途中まではジャンプで読んでいたけど同じ頃同じ理由で大半の漫画に興味がなくなり、ジャンプまるごと読まなくなった(月刊少年ジャンプ派)。この作品をどこまで読んでいたか、どういう風になってどう終わったのかも知らない。だから余計に今更。
今更再アニメ化されても、というのと、今更再アニメ化のそれをなぜ観ようと思うのか、どういう面持ちで観たらいいのか、何やらわからない。など言いつつ、まあ観たからこんなん書いているわけで。

今の時代のアニメとして観て、いやこれそれなりにちゃんとしていた。先日チェックした「無能なナナ」の感想として子供向けっぽいのが難などと書いたが、この作品はそれ以上に子供向け。なにしろテレ東放送らしいし。
しかし子供向けなんて何十年前からわかっている。当の子供だった時分に知った作品だし。たしか連載が始まった当初の子供の感覚からしても、当時のジャンプ漫画の中でダイの大冒険は子供向けっぽい感じがした。だからとっつきやすかった反面、自分の成長と共に感覚や趣味趣向が変わってしまうと興味対象から外れるのは早かった。
あとファイナルファンタジーシリーズの隆盛や後発の類似 RPG の隆盛によって自分の中でドラクエが陳腐化し、原作ゲーム自体に興味を失ったのも影響としてあると思う。
しょうもない思い出話はそのへんにして。

この新作、子供向けなんだけども、子供時分に知った作品だからか、わりと問題なく観ていられた。でも序盤にこんな胸糞な偽勇者のエピソードなんてあったんだっけ。ゴールデンメタルスライム云々、ホイポイカプセル風の魔法具には見覚えがある気がする。「ダイの大冒険」=「傘を逆手持ちしてアバンストラッシュ」という思い出しか残っていないので、わりと新鮮な感覚で観ることができたところはある。
しかし終盤、レオナ姫が出てきて一言声を発したところで子供感覚が失せた。「早見沙織じゃん」と四十代おっさんの脳内データベースが勝手に高速声紋照合。もちろん他のキャラにも聞き覚えのある声はいたけれど、なんでかこの早見沙織だけは早見沙織でしかない感じで、ここ数年に聞き親しんだその声が、三十年くらい前の子供の感覚になりかけていた耳に入ってきた瞬間、なんかこうタイムスリップかタイムパラドックスだかに巻き込まれたような妙な感じ。キャラクターに合っていないわけじゃあないし好きな声優さんだけど、今この作品で聞きたい声ではなかったかも。

あとは主題歌が残念。
原作の画風をそのまま生かし、全体の作風も声優の芝居も80年代アニメを踏襲した感じで、最後の次回予告も昔のこの手の作品らしい語りだった。ならば主題歌も、サビ頭で作品タイトルを歌えとは言わんまでも、どこの馬の骨とも知れんアーティストのタイアップのためにレコード会社忖度で選んだような楽曲はやめてほしかった。