とらドラ!

本放送時はアニメに興味がなくて観ていなかったパターン。
今春ひとに薦められて、夏から観始めて、週1か十日に1話くらいのペースで観てきて、この度やっと観終えた。一気見とは言えない、ただの後追い視聴。


2008 年放送作品。全 25 話。
ヤンキー面だが優しく気が利く男子・高須竜児たかすりゅうじと、「手乗りタイガー」とあだ名される小柄なやんちゃ女子・逢坂大河あいさかたいが、高校2年で出逢いそれぞれの恋路を応援するため行動を共にするようになった二人が、互いの親友、家族、同級生らを巻き込んでドタバタする学園ラブコメ

薦められるままに、何も下調べなしでdアニにあったから観た。そしたらいきなり監督:長井龍雪、シリーズ構成:岡田麿里の名前が出てきて、あーそれでヒットしたのかーと内容を全く理解していない段階でなんとなく納得。
もっと別の大ヒット作で知られる方々だが、自分にとっては「鉄血*1でずっこけたひとたち」という認識。なのでこの作品も序盤の方は多少穿った目で見ていた。
大河と竜児(タイガーとドラゴン=とらドラ)、二人の想いの矛先が2クールの間、劇中2年間に渡る時間の中で色んなイベントやアクシデントを経てだんだんと変わっていく様が話としての魅力だと思うが、終盤に急展開しつつもある意味予定調和で裏切りのないハッピーエンドで終わったのが良作たらしめている要因なんだろうな。
主人公の竜児が結果的にヒロイン女子三人から好かれていたというのがラノベ原作らしいというかアニメ的というか正直呆れる話だけど、そのヒロイン三人の微妙な友情と絶妙にどろっとした女臭さの書き出し方が岡田麿里らしいなと思った。あ、今気づいたけどこの男2女3の主要人物、で女三人が男二人のうち一人のみに矢印を向けている男女グループの関係って「true tears」と同じだ。のみならず、岡田麿里作品には少なくない設定かも。

脚本ではなく原作のパワーなんだろうけど、主に櫛枝実乃梨の空気読んでんのか読んでないのか時々そのキャラクター性を飛び越えて出てくるような台詞があって、具体的にはどんな台詞だったか覚えていないけども、そんな言葉にハッとさせられることがよくあり、そこが一番面白味を感じた点だろうか。大河に気づきを促したり、終盤で追い詰めていったりといったシーンでの強い言葉は、見せ方のうまさもあって結構泣けた。
この謂わば変人に元々は竜児が好意を寄せていたということでも最重要なキーキャラクターだったんだな。観ていればそんなこと分かりやすいことだけど、堀江由衣のやや掴みどころのない演技がその重要性をぼやかしていた感があった。

あとやはり当然、大河の可愛らしさも外せない、特筆すべき魅力だろう。
00 年代アニメと言えば、ろくに興味のなかった自分でさえ釘宮理恵という女性声優の人気ぶりはなんとなく知っていたほどで、しかしこれまで色んな作品を後追いで観る中でも「アイドルマスター」(765 アニマス)くらいでしかその声に触れその名を意識して聞くことがなかった。その人気の理由、実力魅力のほどは、今回この大河の演技でもって初めて理解できた。
最初はツンツンいけすかない大河の幼女づらが、しおらしいところや暗い内面を見せるにつれ徐々にすべて可愛く見えてくる。キャラクターを見せる話の作りと共に、その要所で絵的にも大胆に髪型や装いを変えて登場したりするのが上手いと思った。またそんな時はだいたい不貞腐れた顔をしているのだが、それがまた可愛らしい。

その他、母子家庭だの家族関係、親子関係の問題も含まれていたようだけれど、べつにそこは大して注目するようなことはなかった。もはやこの社会にはありふれているもの。背が小さいとか顔つきが怖いとか、それらと同程度の、ステータスの差異ぐらいにしか思わなかった。
そういった問題ありきのバックボーンを含めて登場人物のキャラが形成されているのだろうけど、そんなことも当たり前であって、極論すれば話を幾らかよりおもしろくするための一要素として欲しかったんだろうなと。これぐらい極端な共通点が無いとこの屈折した二人はくっつかない、みたいな。或いは原作者の経験によるものとか。いや、知らん、なんでもいい。
とりあえず感想として入れておくべき事かと思っただけ。


全体的には学園ラブコメものの正統派っぽくもあり、古くは「うる星やつら」とかがこのタイプの源流なのだろうが、要するに時代を問わずアニメファンはみんなこういうのが好きなんだろうな。
自分はこの手の学園ものは興味がなくて避けがちだったけど、この作品を知って思い改まったところはあるかも。短いようで長い放送期間の中、一部無駄にも思えるエピソードを積み重ねながら主要登場人物の想いが交錯して変わっていき、それだけ重ねた時間でもって結末に説得力を持たせていくっていうのが、小説を一気に読むのではなくアニメとして時間をかけて観るおもしろさでもあると思った。後に「凪のあすから」でもっと極端にやっていること。単に大河ドラマ的な手法か。だから「大河」、というわけでもあるまい。
気分と暇次第で「うる星やつら」やこの首脳陣が手掛けた「あの花」とかも観てみてもいいかも。