BINTA

BOOTSFIGHT IN THE AIR

魔女の旅々

全 12 話。
魔法、魔女の存在するわりと穏やかな西欧風世界。「灰の魔女」の呼び名を拝命した灰色髪の若き魔女 イレイナ の旅話。行く先々で遭遇した奇妙な町や村、奇怪な事件、様々な人物との出会いや衝突などを1話完結形式で送る。

開始時点でまだ十代のイレイナだったが実力は大魔女クラス。その強力さ故の慢心ぶり、もしくは生来の天狗気質からか、毎回冒頭に自分の美しさや誉れ高さを自慢するようなモノローグが入る。そう、私、イレイナです。
これ途中までずっと何の意味も汲み取らず観ていたのだけど、要するにもうそこからこいつ(イレイナ or 作者)なりのギャグが入っていたんだな。ギャグでは語弊があるなら、ツカミの挨拶と言うか。
で基本的にはそういう類の一見わかりづらいギャグが、各登場人物との会話やちょっとした仕種や背景のどこかに仕込まれていて、それが主役の本渡楓をはじめ花澤香菜黒沢ともよらのほんのりおっとり、でも切り込み方は鋭い台詞回しによってゆっくりと確実に刺し込まれてくるような感覚が、笑いのセンスとして非常に自分好みだった。
冒頭のドヤモノローグは毎回の結末の方にも少し掛かってくるところがあって、それは笑い的なフリにもなったり、言わんこっちゃないっていうしっぺ返し風にもなったり。そういう部分含めて、恐らく原作由来のものと思われる言葉遊びが面白かった。というかこの作品の面白の肝はそこだった気がする。

とはいえ、何よりよかったのはサヤ役の黒沢ともよで。「響け!ユーフォニアム」でこのひとの演技力のすばらしさやおもしろさを知って以来出演する作品を幾らか追ってきたけども、なかなか同じようなおもしろい芝居を観られる作品はなくて、今回やっと再び来た、と感じられた。
当然声優さん個人のみの力ではなく、脚本や監督の演出の力によるところも大きいとは思うけども、だからこそ作品全体がおもしろかったわけだけども、それでも個人的にはこのサヤってキャラがこの声この芝居でなかったなら、全体に受ける面白さや好感度は幾分か低かったかもしれない。
サヤに対するイレイナの冷めた感じも好きだった。このコンビ芸ももっと観たかった。


書いてはみたが、若干無理矢理ひねり出した感ある。嘘は書いていないけども、実際のところはだいたい、なんとなくおもしろい、理由はないけど好き、くらいの感じ。敢えてどこがよかったか、挙げたら上のようなことかなと。
最終回最後に新キャラが出てきて続編やる気ありありのようなので期待したい。