BINTA

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トニカクカワイイ

全 12 話。
由崎星空ゆざき なさNASA と付けられた名前に負けないよう努力を惜しまない少年が、ある日とびきり可愛い少女・司と出逢い、直後に二人はトラックに撥ねられるが、少年をかばったはずの少女はなぜか無傷のまま姿を消す。
それはそれとして、事故をきっかけになんだかんだで二人は若い身空で結婚。少女は少年の住まいにやってきて同居、なにかと恥じらいながら新婚生活が始まった。周辺人物が茶々を入れたり、住居のアパートが全焼して知り合い宅に居候したり、などありつつ二人のイチャイチャが描かれる。

なさくんの最初の設定は何の意味があったのかと言えば、要するにそれほどの人間だからつかさちゃんが惚れ込んだ、という説得力を持たせるためのものだろう。加えてそれこそが司の謎の部分、竹取物語要素=宇宙要素とも絡んでくるように思えるが、この全 12 話の中ではその謎について深く語られることはなかった。
タイトル「トニカクカワイイ」の意味はその逆で、なさくんがつかさちゃんに惚れ込むための理由。事故って死にかけてまで、男が結婚しようと思うほどに惚れるのに必要なことはなにか。「かわいい」、それで十分だ。正義かどうかはしらんが、たぶんそういうことだろう。と解釈した。

タイトルはストレートで、でも謎は明かさない。その結果として、概ねただの新婚ラブコメになっていた。謎はあるけども単純に描きたいのはむしろラブコメだけなんじゃないのかとも思える。ふつうの男女のふつうの新婚生活、ふつうのイチャイチャを描いてもつまらない惚気話にしかならないから色々入れたんだろう。
例えばこの作品を見て「結婚も悪くないもんだなー」とか思うひとがいるんだろうか。悪くない感じに見せているのは、ひとえに二人の人柄、人格の賜物でしかなかったと思う。結婚自体には特別な意味など感じなかった。
(以下、個人的結婚観などうだうだ、割愛。)

アニメとして、何が良くて全話観続けられたんだろう。
主役二人よりは周辺人物の方がキャラクターとしては面白味があったけども、それが目当てではなかったし。各話雑感で書いていたけど、初夜から何も無かった(ように見えた)二人が、色々なことを経験して最後にやっとひとつに、なんならできちゃいました的な結末になるのかと思っていた。が、そういうのを期待していたわけでもない。何もしないならしないでそういう作品だと思うだけ。
だから突き詰めればたぶん、司の謎の部分が気になって、っていうことで観ていただけかもしれない。
ただ、11話のたこパ回の印象は強烈で、切らずに観続けた甲斐があったと思った。あの回こそ夫婦とか結婚とかほとんど関係なかったけど。