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禍つヴァールハイト -ZUERST-

全 12 話。
ある帝国。運送屋の民間青年イヌマエルは依頼された配達物と取り違えた密輸品を運送し、検問にて逮捕される。密輸品は武器で、「ヘッドキーパー」と呼ばれる密輸組織の構成員たちはすぐにそれを奪還。同時にヘッドキーパーに救われたイヌマエルだったが、帝国兵士からの逃走途中に戦闘に加担し兵士の一人を殺害。行きがかり上そのままヘッドキーパーと行動を共にすることになる。
義兄兵士を殺された若い帝国兵レオカディオはヘッドキーパーを追い奔走するが、彼らはその過程でこの国に隠された闇の歴史を知り、それぞれに陰謀を探り始める。といった話。

ゲーム原作、詳しくは知らないけどどうやらゲーム本編の前史に当たる話らしい。このアニメの登場人物の中でゲームに出てくるのはレオカディオのみ、しかも姿が全く異なる。だからオリジナルアニメのようなもん。

イヌマエルやシャアケらヘッドキーパー側と、レオカディオを中心とする帝国側、最初は敵対する双方の追跡劇というかたちで、作品全体のキーになる『光』や「フリーレンの炎」、「雷火病」、そして時折現れるモンスターの謎を追っていく。この前半の劇は登場人物を把握していないと少々ややこしいところがあり話を見失いそうになった。
帝国士官ヘルマンの暴走を基点に、イヌマエルの疑いが晴れたりレオカディオが帝国に疑問を持ったりして、終盤は共闘チームに。正直ここまで来ないと全体が理解できなかったけども、芝居としての脚本がおもしろいので苦はなく観ていられた。
キャラクターたちもクセが強いのが多いわりに劇の上では誰もが主張はクドくなく、必要最小限の台詞量で状況説明しながら笑える台詞回しもあって、原作の存在を気にせず一本のアニメとしてとても楽しめた。

作画は一見不安定な画風で時折だいぶ危なっかしいところもあったけども、アイキャッチにおけるイヌマエルの走り方に顕著なように昔のジブリ風、もしくはジブリ以前の宮崎駿作品、ルパンとかコナンとか、の影響を感じさせるおもしろい動きが見て取れ、そういう点でもよかった。

イヌマエルが生きていて、主要メンバーの誰も死んでいなかったようなので続編あり得るんだろうな。原作モノであってないようなものだから、続きがないと彼らのその後どうなったか知れないわけだし。是非観たい。