BINTA

BOOTSFIGHT IN THE AIR

NOBLESSE -ノブレス-

全 13 話。
海中から小船に引き上げられ、開かれた棺。永い眠りから目覚めたのは、人間を遥かに超える力を持つ「貴族」と呼ばれる一族の男ライジェル。現世の確認のため、下僕の人間フランケンシュタインが校長を務める日本の学校に生徒として転入した彼は、その美貌と謎めいた雰囲気で周囲を魅了し、同級生のユウスケ、マナブと友達になる。
学生として日本の庶民的生活を楽しむライジェルだったが、その存在を嗅ぎつけた「改造人間」の組織や同じ「貴族」からの刺客に狙われ始め、その一部数人を仲間に引き込みながらも危険な生活を続ける。といった話。

正直ダークホース。こんなに面白いとは思わなかった。
「面白い」の大部分はマスター、ライジェル様のラーメンネタであり、つまりはギャグアニメとして笑ったという意味で面白かったというのが主。しかしただギャグアニメとして作られたものだとしたらむしろ笑うことはなかったはずで、貴族、人間、改造人間の三種が絡み戦うベースの物語が一応真面目に展開している、基礎がしっかりしているからこそギャグも生きていた。真面目な基礎部分がギャグへの振りとなって笑いを増幅させているところもあって、毎回これが韓国作品なのかと驚かされた。あっちの国にもこんなバカな笑いがあったのかと。

中でもすごいのはやっぱりマスター。全 13 話を通して発した台詞は全部足しても1分無いような気がする。ほぼ喋らないにも関わらず、動きもほとんど無いにも関わらず、ギャグが成立している。
根本の「貴族という立場の人間が貴族の振る舞いで庶民の暮らしに入り込んでいる」というところが既にボケで、加えてフランケンシュタインの謝罪や改造人間ら周囲のツッコミがあって笑えるところもあるけども、話数を重ねて「マスターはそういうひとである」という前提ができあがった上で 12 話Cパートの古典的ギャグが成立してしまうなど、立ち居振る舞いの描写から演技演出まで非常に計算されたキャラクターだと思った。

登場人物たちは少女マンガ並み、腐女子向けと思えるほど整いすぎた美男子揃いで本来男性視聴者が観るには堪えないはずなのに、そんなマスター以下、フランケンシュタインも M-21 もレジスもその他も嫌味のないキャラクター揃いで、それは当然ギャグやコメディ要素があったからこそなんだろうけど、絵の食わず嫌いで避けなくてよかったと心底思った。

10 話以降は貴族界のいざこざ解決に向けて真面目な方に寄っていったが、それも全然いいと思った。この見た目この絵で、貴族がテーマで、内容がギャグに振り切って終わってしまってはちょっと白けると思う。真面目の中で割合少なめにインパクトの強いギャグが入っているのが丁度いいと思う。

ギャグやコメディ部分のことばかり書いたけども、そのどれもが単に自分の好みに合っていたというだけであって、それらが万人向けだったかと言えばそうでもないとも思う。しょうもないものもあった気がするのであまり人気や話題にならなかったのもしかたないかも。
でも関係ない。自分にとってはこれ、今期優勝。