BINTA

BOOTSFIGHT IN THE AIR

D4DJ First Mix

全 13 話。
DJ 、ディスクジョッキー、と言っても今やディスクは回さないしデジタル音源を PC で流してミキサー機材で操作するだけのお手軽なやつ。を中心に、生歌を加えるシンガーやステージに華を添えるダンサーを伴って行うパフォーマンス「DJ 活動」が日常的に親しまれている女子校を舞台にした、複数の学生パフォーマンスグループの話。
より端的に言えばアイドルモノ。ダンス系エレクトロニックミュージック主体ではあるけども、昨今のアイドル音楽なんて元からそっち寄りのものが多いのでふつうのアイドルモノと大差は無いと言っていい。アイドルモノのアニメってアイマスのほかはあまり興味の対象になったことがないのでよくは知らないけど。

アフリカ育ちの主人公が日本に帰国転校してきて、DJ をやっている同級生と知り合い、映像&グラフィック系に強い幼馴染みを VJ として誘い、さらにピアノが弾けて作曲もできる優等生を引き込んで、4人組ユニット「Happy Around」を結成。
同じ学校内に多数存在するそういったユニットたちと、学校内で開催されるコンテストだかフェスだかに参加して観客生徒を沸かせてその反応で優劣を競い合う。というのを繰り返して、同校生徒にして芸能事務所所属のグループや学内随一の強力ユニットに対抗していく。

単に「DJ」がテーマなら既成楽曲を用いて選曲センスや楽曲を繋ぐテクニックなどで競うのが正しいのだろうが、これはメジャー商業アニメなわけで、のちのち作品の様々な商品展開などを考慮すると著作権処理が煩雑化すると思われるそういった本来の DJ 的展開は望ましくない。という意向もあってのことだろう、出てくる楽曲は本作オリジナルが中心。幾らか現実の既成曲である昔のヒット曲のカバーもあったけども、何かにつけて「新曲をつくろう!」と言う登場人物らの意気込みもあって次々オリジナル楽曲が出てくる。
むしろ DJ 担当の子が DJ らしい動きを見せるカットなんて雑にしか描かれていないようにも感じた。ビニールのレコードを回すリアルなターンテーブルなんて出てこないし。多くはデジタル音源を流すやつとミキサーに手を置いて、フェーダーかツマミ(ノブ)をいじるのが数秒入る程度。それらをどうすると音がどうなるとかいう込み入った話はない。それどころか歌おうが踊ろうが何していても適当な DJ ブースにさえ立っていればそいつは DJ 、とでも言いたげなくらい自由にしていたりする。数年前にカリスマドットコムという二人組がいたが、その片割れの DJ がそんな感じだったな、そんなスタイルが文化として定着してしまったのかな、と思った。と言っても自分も DJ に詳しいわけではないのでそれが正しい DJ と言われれば反論はできないけども。

アイドルアニメとしてはどんなもんだったのか。
監督は水島精二。名前は水島努絡みでよく聞くけど作品はたぶん過去ほぼ観たことがないと思う。どんなふうになるのか1話だけでは全然予測がつかなかった。絵柄はよくある 3DCG の女の子キャラを手描きに落とし込んだような、きれいではあるけど目の大きさや表情の固さのせいなのかかなり独特で、歌唱&ダンスパフォーマンスの際には実際に CG に変わるシーンも多々あるので、その差異や違和感に配慮した上でのキャラデザだったのかもしれないけども、見慣れるまでは少し気持ち悪かった。
声優も、こういったアイドルモノ界隈では知られた人もいたのだろうが、多くが一般的に無名な人ばかりで、演技の拙さが目立ち、劇としては楽しめる最低水準に達しているかどうか怪しいものだと思った。
が、脚本はそれら諸々を踏まえ、DJ に主眼を置くわけではなくアイドルモノである、台詞芝居で見せる日常はそこそこに楽曲勝負、パフォーマンス勝負を主体にする、といった辺りを軸に構成された感じで、コメディ成分は薄味で過剰なところはなく、説明的台詞や説教臭いような固い話も必要最小限に省き、とにかくこの「D4DJ」というコンテンツとその中心となる女の子たちにどんな魅力があるかを見せることに徹していたように思う。

おもしろかったかどうかと言えば、べつになんとも。絵が気持ち悪いとか演技が残念とかは毎回のように思ったけども、それでも全話観てしまえたのは、その他に欠点がなかったからかな。大して加点もなかったのだけど。
楽曲に関して、音は最新なんだろうが、メロディーが 90 年代 J-POP ~ TK フォロワーなライジング(バーニングだかヴィジョンファクトリーだか)系やエイベックス系な曲が「新曲」とか言って放たれるのが可笑しく、そういうところで面白がって観ていられたというのはあるかも。

あと、この主人公りんくを見慣れて以降、他のアニメで主人公とかが天を指差して決めポーズして決め台詞を言いそうな場面で即座に「ハッピー・・・」と連想する悪癖が着いてしまった。