BINTA

BOOTSFIGHT IN THE AIR

MAGERECONSTRUCTION

m-age.tokyo
www.jvcmusic.co.jp

M-AGE - Wikipedia


昨年再結成が発表された時、それ以前にも何度か何か書こうと思ったことがあったものの、書き始めるとどうにも大昔の思い出からなぞることになり、ほどよくこのバンドに関すること音楽のみについて云々述べることができず、んなもん音楽に限らずアニメだってゲームだって酷い文章以外書いていないけども、なんか、その。
好きだったバンドで、気になっていたのに、結果的にこのブログには一切何も書いてこなかった。



M-AGE、エムエイジ。
1991 年から 1994 年にかけて活動していた5人組のバンド。
というところから書き始めると長くなるから文頭にウィキペディアを置いたのだ。そのへん割愛。

このたび再結成と近く開催予定のライブに合わせてベストアルバムが発売された。
このバンドが物凄く好きだった、というわけではなかった。けどもどういうわけか年一くらいのペースで聴きたくなる時があり、これまでずっと聴き続けてきた。
でも、本命で好きだったというわけではない。好きな曲を挙げるとするなら何曲かパッと浮かぶ。それらの中には本命で好きだったバンドの曲並みに好きな曲もある。そのくらいに半端に好きだったバンド。

のベスト盤。全曲リマスタリング。未発表バージョン、復活後の新曲もあり。
だが、買おうかどうか迷った。リマスタリングしてどうこうなるバンドか? 元から十分今でも聴けるじゃん、CD もだいたい持ってるし。みたいな感覚と、未発表バージョンっつったってデビュー当時から「1曲から 100 曲作れる(リミックスを武器に)」とかって宣伝文句が躍っていたバンドで、たぶん今回出してくる以外にも発売に至っていないバージョンなんて山ほどあんだろうに一部だけ小出しにされてもね、みたいな感覚、などあり。
ユーチューブもインターネットすらも無かった当時、一般人は滅多に観ることのできなかったプロモーションビデオやライブ映像を収録した DVD 付き。という点も、観たいっちゃ観たいけど、荒い映像であれば動画全盛時代となって以降にどこぞで結構な数観たし、いざ買っても一回観りゃ十分だろうし、2CD + DVD で六千円、2021 年にそんな、なー。みたいな感覚もあり。

とブツブツ迷いつつも発売当日が来ると単純素直に欲しくなって買ってしまった。
滅多に買わない CD 。前回、昨秋、中村晃子ベスト盤以来。
本当に自分の趣味のベクトル迷子ぶりは我が事ながら理解不能



RE:CONSTRUCTION 1991-1994 [生産限定盤] [2CD + DVD + 別冊BOOK]

M-AGE RE:CONSTRUCTION 1991-1994

Disc1

1. CALL ME
代表曲。シングルではないが「DANSE 2 NOISE 001」というコンピレーションに収録されたメジャー初リリース作で実質的にデビュー曲。のちの 1st アルバム「MUSTARD」にはミックスの異なる別バージョンが収録されており、長年そのアルバムバージョンが少しだけ気に入らなかったので何年か前にわざわざそのコンピを中古で買った。で、2回くらい聴いて満足。
この曲の魅力はイントロのピロルピロル... というシーケンス。のみに尽きる。画期的だった。ように聴こえた。漠然とそんな感覚があったことを憶えている。


2. WALK ON THE MOON
3. VISITOR
1st シングル収録曲。1st アルバム収録のとは別バージョンらしい。シングルバージョンを聴くのは初めてだけど、違いがわからない。アルバムバージョンをリマスタリングしたものだったとしても気づかないはず。


4. BACK TO BACK
1st シングルのリミックス盤収録曲。1st アルバム路線だな、と。


5. SILENT FEARS
1st アルバムの1曲目。激しい。たぶん、似ているパクったと揶揄される元ネタ洋楽アーティスト風を意識的に狙ったものかと。でもこれ好き。


6. MIND WAR
7. CRISIS
8. ENOUGH OF THIS
1st アルバム収録曲。

この当時、Roland が出した「MS-1」という3万円程度の簡易サンプラーというのがあって、電気グルーヴをきっかけに打ち込みやサンプリングという音楽手法を知って自分でもやってみたくなった中学生だったか高校生だったかの自分は、正月に親類を叩いて出たコインを使ってそれを買った。それでサンプリング、サンプル=音素材の波形としての扱い、Attack, Sustain, Decay, Release という波形構成、Loop, Gate, Trigger, Drum といった発音方式などを知った。
その上で M-AGE 1st アルバム「MUSTARD」、コインが無くて買えず同級生に借りて聴いた。これらの曲の中には、そんなサンプリング知識を得たばかりの学生の自分が聴いてもわかったほどのレベルで、ループで鳴らされるドラムサンプルの波形の長さが1小節きっかり設定できていない部分がある。くそガキの自分がそれに気づいて思ったのは「こんなんでいいの?」。
今回、付属ブックレットのインタビューにてその件に触れられていて、自分の拙い耳での認識が間違っていなかったことが確認できた。改めてまじまじと聴いて、笑える。


9. UNDER THE CUBIC SKY (final solution mix)
1st アルバム収録曲のリミックス。未発売だったトラック、初収録らしい。
特に感想なし。


10. someday close your eyes
2nd シングル曲。シングルバージョン。1st 時期の微妙なバージョン違いと違って、この曲はアルバムバージョンとはだいぶ異なる。またリミックスマキシのバージョンとも違う。アルバムのは激しめ、リミックスのはどうだか忘れた。これはわりと穏やかで浮遊感があって、PV も良くて、3つの中ではこれが好き。


11. tears
2nd シングルカップリング曲。特に感想なし。


12. last temptation
2nd シングルのリミックス盤収録曲。
バックトラックの音がのちの「cure」に似ている。


13. i'll keep on holding on
同じく 2nd リミックス盤収録曲。洋楽カバー曲。2nd アルバムにも収録されているけど、曲名表記同じでもアルバムとはバージョンが違う。アルバムの方が若干あっさりしていて好き。


14. 真夜中の逃亡者 (Mike "Spike" Drake mix)
2nd アルバムの1曲目、リード曲。シングル曲並みにかっこよくてかなり好きな曲。の未発表バージョンらしい。全体構成やアレンジはほぼ同じに聴こえるけど、端々のエフェクトが違ったり、原曲にない(聴き取れない?)音もあったりなかったり。
リマスタリングによる効果もあってか特にキックの太さが目立って異なる。元音源のままでも好きだけどこれはこれでまたかっこいい。


15. HEAVEN
16. FLOWERS OF THE SUN
2nd アルバム収録曲。「真夜中の逃亡者」をきっかけに 2nd アルバムからまともに聴き始めたのだった。で、まだ CD 所有枚数も 10 や 20 程度の頃だったので、一枚をかなり大事に聴き込んでいた。これらの曲を聴いていると、当時聴きながらやっていたロマサガ2やマリオカートなどのゲームのことを思い出す。あと家庭不和とか。明日の体育が嫌でしかたない感じとか。しあわせでしたね。


17. WALK ON THE MOON (demo)
1st シングルの未発表デモ音源らしい。ほう。


Disc 2

1. SINK (2010 mix)
2010 年の曲ではない。1993 年発売のコンピレーション「DANCE 2 NOISE 004」参加曲。2nd アルバム収録曲のリミックス。90 年代前半からは「2000 年」も「2010 年」もそこそこ遠い未来に感じられた時代だったのだ。未来や終末世界を連想させる時に「20XX」と付記するのが定番だったとも言える。
まさかそんな 2010 年など軽々と飛び越えて一昔前にまで追いやってしまう時が来るとは。そしてそんな時まで生きながらえ、全く想像もしていなかった四十代にまでなり、醜く老いていくのを阻止することもできず、脳内も生活も 90 年代当時からほぼ進歩なし、進むのは生え際の後退のみ、とは。
といった気分になる曲。


2. NEXUS 7
ジョン・ロビンソン参加の企画シングル収録のオリジナル曲。
今回のベスト盤のブックレット内コメントに「プロディジーが所属した XL レコーディングスの音を意識した」と書いてある。そう言われてみると確かに、「Experience」という初期アルバムの音、「Hyperspeed」とかに似ている。暴力的なブレイクビーツの使い方などそっくりかも。


3. mother
3rd シングル。3rd アルバムに「mother (complex mix)」というのが収録されているけど、シングルバージョンは初めて聴いた。あ、これ「マザコン」か、今初めて気づいた。
で、しかもほぼ別曲じゃないすか。そのマザコンミックスの方はわずか 30 秒のインスト。このシングルバージョンのイントロでしかなかった。その後にちゃんと歌パートが続くなんて、これまた初めて知った。今回、再結成後の新曲よりもなにより一番驚いた。
が、まあ悪くない、くらいの楽曲で、なるほどアルバムにまともに入れなかった感覚も理解できなくもない。


4. cure
3rd シングルカップリング曲。これも 3rd アルバムには「cure (absolute mix)」という別バージョンでの収録となっているけども、「mother」とは違ってこちらの差異は大したことない。アルバムバージョンをリマスタリングしたもの、と言われても気づかないパターン。
それはそれとしてわりと好きな曲。


5. 今夜はビート・イット!
コンピレーション参加曲。マイケル・ジャクソン「Beat It」のカバー。何年か前に存在を知って有名動画サイトで聴いたことあった。原曲関係者が聴いたらメイク無しで顔面蒼白しそうなくらいにだいぶ原曲を崩してある。恥ずかしげもなく「ビーレー!」を絶叫し続けるのが主。おもしろい。


6. Blind Venus (release mix)
4th シングルのアルバムバージョン。3rd アルバムからのリード曲で解散前のラストシングルとなったやつ。メンバーも最高傑作と自画自賛する曲とのこと。おっしゃる通り全楽曲の中で最も美しく完成度も高く、歌メロもコーラスを含めて M-AGE 楽曲では他にないほど良いと思う。
惜しむらくは、未所有でちゃんと聴いたことのないシングルバージョンでの収録ではなかったこと。他のシングル曲は全部シングルバージョンなのに、なぜこの曲だけアルバムバージョンなのか。惜しい。
あとこの曲の音は、ギターの MIYO-KEN が後にサウンドプロデュースを手掛けた anemone という女性アーティストの音に通じていると思う。


7. Strange Future
4th シングルカップリング曲。初めて聴いた。3rd アルバム収録のインスト曲「sample return」と過激な「revive」の間の子みたい。結構かっこいい。


8. blink blink blink
9. ocean rain
10. personal ascension
3rd アルバム収録曲。これまたスーファミのなんらかをやっていた記憶が呼び覚まされる楽曲たち。具体的に何をどんな感じにやっていたかは全く出てこないけど。

3rd アルバムにはボーカル KOICHIRO ではなくギターの MIYO-KEN がボーカルを執ったと思しき、歌声が M-AGE らしくない楽曲が数曲入っていて、そのうちの「cry for the moon」という曲が実は全オリジナル曲中最も好きだったりする。今回それが入っていなくて残念。このベスト盤の購入を即決できなかった理由がそれでもあった。


11. STARSHELL (Mike Edwards mix)
解散後にリリースされた海外テクノアーティストによるリミックス盤の収録曲。当時日本でも一部で人気のあった西欧テクノレーベルのひとつ、ライジングハイレコードの総帥 Casper Pound と同関連アーティストによるもの。
原曲の素材の一部だけを使って(または全く使わず)タイトルだけ残して完全な別曲に仕上げるインテリジェントテクノ流儀。そんなリミックス盤を日本のロックバンドが出すのが一部で流行った時期。BUCK-TICK の「シェイプレス」という企画盤が有名。
この曲のみ、ジーザスジョーンズのひとによるリミックスだったそうで、言われてみると肌触り違うかも。それよりも同じリミックス盤の中でも「VISITOR (AIR LIQUIDE mix)」という曲が凄く好きで、なんなら M-AGE 全楽曲中一番好きかもしれない。それが収録されていないのもまた購入を渋る理由となった。

「cry for the moon」とそれと... 一番好きな曲って、KOICHIRO 歌ってないな。


12. Blind Venus (Casper Pound mix)
同じく解散後のリミックス盤より、最後に収録されていた 10 分を超えるアンビエント調ミックス。せっかくの美しい原曲の歌メロがほぼ出てこない。爽やかなギターだけを残した焼け野原という感じ。
美しく散ったってことかなあ、みたいな感覚になった気がする当時。


13. BIRD CAGE
ボーナストラック、再結成後に制作された 2021 年の新曲。
2nd アルバム後に脱退しその後引退したというベース KAJIWARA は不参加のまま、残りの4人で再結成。見た目は老けたり激しく変わったひともいるけども、スタイルはあまり変わらず。音はわかりやすいエレクトロ要素が減ってロック寄り。
好みとは言えないけど次の予定があるそうなので今後に期待。



付属 DVD も観た。
プロモーションビデオ群とライブ映像。保存媒体も時代が時代で残存資料も限られているだろうから DVD 画質で入れれば十分、ブルーレイで出す意味はないということだろう。
一部は昔 VHS に録画して画質が綻ぶほど観たものもある。また一部というか多くは初めて観るものだった。曲や演奏がどうこうと言うより、現在最新の姿と昔のルックスの違いがおもしろい。みんな中性的だったんだな。

「Blind Venus」の PV での音源はシングルバージョンなんだろうか。だとしたらアルバムバージョンとの違いが全くわからない。だとしたらシングルバージョン未収録を嘆く必要もないか。
「真夜中の逃亡者」など 2nd アルバム曲のライブ生演奏の映像と音が興味深かった。「SILENT FEARS」でもサビで MIYO-KEN が高音パートを絶叫しているのが見ものだった。
買ってよかったと思えた。



あとブックレット。
メンバー4人のインタビューで、知りたかったことがすべて語られていた。解散の理由、再結成の理由、今までできなかった理由、解散後のメンバーのその後~現在、レコーディング事情、リミックス盤「STARSHELL」の中の写真に MIYO-KEN と OKAZAKI の2人しか写っていなかった理由、など。
CD よりも初見の映像とこのブックレットの方で元取れた感じ。



あー、こんだけ書けばもう次の解散まで一切触れないだろうな。