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無職転生~異世界行ったら本気だす~

分割2クールの前半全 11 話。
無職引きこもりの中年男が事故死から異世界転生。という出だしの見慣れたパターン辟易から、コメディ要素を随所に混ぜつつ主人公の成長~冒険を一話一話丁寧に重ねて、結果的にとてもよくできた作品という印象に変わった。
「見慣れたパターン」とはいえ、どうやらこの作品こそがそのパターンの先駆の部類に入るものらしいので、見慣れてしまったのは後発に二番煎じの薄味 or 味なし異世界転生作品がたくさん生まれ、それらが早熟にも無駄にアニメ化されてきたせいだろう。そんな駄作子孫の影響を受けることなく、恐らく原作がちゃんとおもしろいらしいことが窺える出来になっていたように感じた。

原作、脚本が良いのに加え、声優の芝居もとてもよかった。主役の内山夕実杉田智和をはじめ、他の主要キャラのベテラン勢、脇役の若手に至るまで、端々まで適材適所を考え抜かれたキャスティングだったようにも思う。

OP の入り方の特殊な演出もよかった。主要制作陣のクレジットを出しつつのアバンがあって、どこかのシーンでバツッと切って OP に入るとか渋々 OP を挿入するみたいなのではなく、アバンの最中に OP 曲が BGM 風に入ってきて提供クレジットを出すような流れで作品タイトルが表示されて OP 終了。と同時に場面転換。これが毎回自然で、終わりまで作品世界に没入させるのに効果的だった。余計なことを考える隙を与えなかった。

しかしこれ、ルーデウスの故郷に戻って散り散りばらばらになった家族を探して再会したあとどうするんだろう。ルーデウスは本来なにがしたいんだっけ。前世の男的には外に出てまともな生き方を目指すみたいなことで、それは既に達成されているような。
そこで例の「ヒトガミ」か。なにかしら指し示していくのか。それって作者自身が作中のキャラクターと話すための依り代なのでは。後半クールが待てず諸々気になるなら原作を読めと。

待つ。