BINTA

BOOTSFIGHT IN THE AIR

ワールドエンドダイナー VOL.3

私はロボット。名前は忘れた。
店をやっている。レベルは 10 。


先日、猫を飼うことになった。
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なんでもいいけど三毛猫。なんとなく。
この世界でこの店に居付く動物は皆、ただのペットではない。
こいつはお客がカウンターやテーブルに好き好きに置いていく飲食代金を回収してくれる。そういう役割。猫に小判、着服して私腹を肥やすなんてことはなく、ちゃんと店の売上として収まる。


お客は動物で、この猫も動物で、絶賛営業中の店内写真を撮るとまぎれてしまってどいつがそいつかわかりづらい。

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中央、カウンターのフラワーリースの前をうろついているのがそいつ。
名前はしらないが、いつしか「ミャーコ」と呼ぶようになった。コイン回収時に「みゃー」と鳴くから。あざとくも可愛らしい声を上げながら健気に働いてくれる子だが、メスかどうかは不明。こういった場合大抵はオス。
じゃあ「ミャー公」でもいいさ。もしくは仙石。それはみーこ。

とにかくこれまでいちいち自分の手作業でやらなければならなかった集金作業が9割削減され、非常にありがたいのだった。残りの1割は、彼奴も生き物なので食事したり昼寝したり、気まぐれにサボることがあり、完全に頼り切れない。
またこれ、働く姿が健気でかわいいので、ピークタイムや閉店直後など金が飛び交う時には任せきりではなにか可哀想になってくる。



冬の日。雪だるま。
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春の日。アライグマ。
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猫のエサ
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ミャーコ(仮称)はおさかなクッキーというものを食べる。
店内で、他の料理を作るのと同じ調理器具で作るが、お客には提供できないメニューとなっている。ニワトリやヤギのエサも同様ではあるが、彼らに与えているのは食材の一種であり元々が料理メニューではない。
おさかなクッキーは猫専用の特別な調理品なのだ。しらんけど。



ふつうの夜
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うちの提供メニューに今のところ特徴はない。
在庫の食材でできるものを手当り次第作る。最初の頃は午前と午後で出す品/出さない品を入れ替えていたが、二週間程度(ゲーム内)で面倒臭くなったのと忙しさでそんなことやってられんということになって、お好きにどうぞとなった。

しかしメニューが増えすぎてストック箱に入り切らなくなりつつあるので、そろそろ少しは方向性を考えて作るものを絞り込んだ方がいいかも、と思い始めたところなう。



てってれー
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ダイナー LV が 11 に。
クラフトという、錬金術とは別の、また調理とは無関係のスキルが解禁されたが、財政的な事情によりそれを始めるのはまだしばらく先のことだった。



バイトくんB
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バイトくんA(犬種)とは別のウサギの子。最近たまに来る。
写真撮るよ、とシャッターを切る瞬間にドリンクのピッチャーに隠れる習性があり、この画を撮るのに四度失敗した。

それに対してヤギ坊はいつも同じ所に人形のようにしていやがる。
朝は乳を搾ろうとすると苛立たしいほど逃げ回るのに。



バイトくんC
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この子は、イタチかオコジョか、オットセイか。不明。
どの子も履歴書や職務経歴書も持たず、自己紹介もなく労働意欲だけを売り込んでくる。しかも必ず朝、飛び込みの出待ちスタイルで。それを即採用する方もへんなもんだが。いい世界だ。



巡った冬。また雪だるま。
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ウサギさんがつくっていることが判明した。
地面に積もってもいない雪を、降り落ちる前に瞬時に掬い取って丸めていく。雪だるまを誰が考案したかという記録や記憶は今の私にはなく、この作り方が彼らにとっては常識なのかもしれないが、なんとなく物凄い技のように思えた。



アポカリプス
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島の北東に司書ロボットというのがいる。
食材等々の採取のために島の端々を回り、遺跡のようなものをこれまでに幾つか見つけた。そこから得たデータみたいなものを集めていくと、司書に内蔵された文献が解読できるようになった。この世界のあらましや現状の全体像がぼんやりとわかったりそうでもなかったり。

まあつまりは、先日思った素朴な疑問「飼育動物もお客の動物も同じ動物なのに、なぜ食べる物や生体が違うのだろう」みたいなことに対する答えが用意されていたのだった。

しかしこの文献解読を続けるとなると、一日の忙しさはますます増していくのだった。