BINTA

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趣味の終わり

音楽の趣味があった。
1990 年頃、十代の初めの方に始まって十代後半頃には、これが一生の趣味として続いて、無くてはならない、無くなる時は死ぬ時だろう、ぐらいに思っていたが、二十代後半、ゼロ年代中頃になると段々と聴きたいものが無くなってきて、違うな、何か斬新なものが聴きたいのだけどそれが何かは分からず、またその漠然とした願望に適うものがどこからも出てこず、或いはどこかにあったとしても出会うために探したり求めたりする気力も減退し、三十代の初めぐらいに遂に終わりを認識した。
二十年ほどで終わった。長いっちゃ長いが、終わりが来る趣味だとは思っていなかったから、そう考えると短い趣味だった。

替わって映画の趣味。
2009 年晩秋から始まった。DVD レンタルで年間 100 本以上観るのを三年ほど続けたのち、だんだん先細り、五年ほどで終わった。

替わって DTM の趣味。
聴きたい音楽は無くなったけど、無いなら自分で作ろうということで、長年かけて地味にスキルが身について&機材と技術の進歩で自分の作りたい音を具現化できるようになって、2014 年に本格化した。
が、ある程度やりたかったことができると、やはり五年ほどで終わった。

アニメの趣味。
SHIROBAKO をきっかけに 2018 年だったか。サブスク時代の恩恵を目一杯受けつつ、無闇にたくさん観た。本格的マニアからすればそんなもんたくさんのうちには入らない、誤差程度の作品数だろうが。
やはり五年ほどで終わった。



なぜ終わるのか。
全部似たようなもんなのよね。
パターンが出尽くし、観尽くし、聴き尽くしたと感じると終わる。

自分の守備範囲がどこまでなのか、探るわけでもないけど、これは良い/これは無しって判別しながら、それなりに幅広くたくさんの作品を短期間のうちに吸収していくと、どうやらロックってのはこういうパターンで、映画ってのはこれぐらいのカテゴリーで、自分の作る音楽はこんなもんで、アニメってのはこんなのばっかりで、ってそれぞれその分野の世界の広さまたは狭さが概ね計り知れてしまって、個々の作品の良し悪しは別として、少なくとも今この時代、閉塞感のあるこの分野からは自分に特別な刺激をくれるものはもう出てこなさそうだって思ってしまって、それはとてもつまらないことで、どうでもよくなってしまう。
言うなればそんな感じだろう。

加えて、面倒臭い。自分がわかっていないだけで、知らないだけで、その漠然と感じた枠組みの閉塞、つまらなさの枠外にあってとてつもなくおもしろいものはあるのだろう。きっとある。しかしそれを、そこまで調べて掘り出すのが面倒臭い。おもしろいに出会う可能性を信じる気持ちが、面倒臭いに勝たない。面倒臭いを越えてまでそれに出会いたいという気にはならない。
いや、多少は掘ったのだ。今回のこれはつまらなかったけど、このジャンル、もっと深掘りすればきっとあるんじゃないかって、結構掘り進むこともあったのだ。でも出会わなかったのだ。面倒臭いを越えても越えても、なんならよりつまらないものが出てくるばかりで、その趣味の最初、その分野を趣味とするくらいに刺激をくれた作品と同等かそれ以上のものなど、出てきやしないのだ。だから終わる。

掘って掘って、新しいけどいまいちなものばかりに出会うより、既知の良いものを再度楽しんでいればいいやって、なってしまう。もしくは、べつに聴かずとも観ずとも、何もなくていいやって。無音で平気だし、つまらないものを観るくらいなら妄想でもしていりゃ楽しかろう。
懐古趣味に走ってしまうのも同じ理由。
新しいものがつまらないと感じるのは老い、老害的感覚もあるだろう。疑いなくあるはず。否定はできない。



で今現在、最近、そんな終わりを感じ始めているのが、他でもない、ゲームだ。
自分の守備範囲が概ね計り知れて、新しく出てくるものにはピンとくるものが全然ない。
もうだいたいやり尽くした。やりたいものは出てきそうにない。ゲームなんてやっている歳でもないのかもしれない。
音楽や映像と違って、一度飽きたゲームは基本的に再びやることはない。音楽や映像は言わば受動的なメディアで再生を始めれば勝手に終わりまで進んでくれる。ゲームは能動的というか、大抵は自分でどうにかしなければ進まないし何も動かないし終わりに辿り着くこともない。辿り着かなくても、過程にこそ最大の楽しみがあるのがゲームだけど。その楽しみを享受するにも自発的に動かなければならない。

それが、やっぱり結局、面倒臭いのよね。


面倒臭い。眠い。
このブログに頻繁に書いている泣き言。
自分の人生をクソたらしめる二大要因。その怠惰に寄りかかっているから楽天的でいられる面もある。重ね重ねに愚かな。



最近ゲームをやらなくなっている理由を考えると、以上のようなことかなって。
むしろちょっと前の年末はなんであんなに熱くなれていたのか、不思議でしょうがない。

っつって明日にはゲーム熱が再燃するみたいなこともあるから、本当いい加減な愚かさよ。