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KIMITONODISTANCE

ZARD 2005 年、坂井泉水の生前最後のオリジナルアルバム。
「君とのDistance」
君とのDistance
https://wezard.net/discography/discography-231/


ザードはデビュー時から好きで今でもよく聴くが、初のベスト盤が出た辺りから興味が薄れ始め、それは楽曲提供作家の変化やビーゾーン全体の音や作風の変化、あと自分の趣味嗜好の変化も伴ったもので、アルバム「時間の翼」以降はデフォ買いをやめた。
「止まっていた時計が今動き出した」の頃に少し興味が戻ったが、坂井泉水が亡くなる頃はあまり気にかけていなかった。

「君とのDistance」を買ったのは没後。
ファンと言えるほどの熱を失って久しかったけども亡くなったことは率直にショックで、ノーマークのところをガツンとやられた感じで、茫然としながらディスコグラフィをチェックしたら、最後のアルバム、最後の曲に「君と今日のことを一生忘れない」という曲名があって、それがその時の心境にガッと引っかかったのか、或いは単に好きだった故人の遺作を聴いて知って偲びたい気分になったのか、すぐに買ったんじゃなかったか。たしかシングル「ハートに火をつけて」も一緒に。


「君とのDistance」
11th アルバム、全 13 曲収録。
一曲ずつ述べることは大してない。作曲は大野愛果が大半を占める。織田哲郎多々納好夫の楽曲は既発他アーティスト提供曲のセルフカバー。
栗林誠一郎作曲 "I can't tell" は昔のストックの一曲であり新規提供曲ではないと言われる。"あなたを好きだけど"(「揺れる想い」収録)や "気楽に行こう"(「forever you」収録)に似た感じがするので、そのへんの90年代ストックだろう。
残り2曲は徳永暁人


全 13 曲は、やや長い。
あまり自分好みの曲がないからそう感じるのだろう。
が、それとは別に、もう5曲目 "君とのふれあい" 辺りでアルバムの終わりを感じるから、というのもある。それ以前に2曲目 "サヨナラまでのディスタンス" でもうサヨナラを言い出し、次は落ち着いたシングル曲 "かけがえのないもの" 、"今日はゆっくり話そう" 、で "君とのふれあい" 、"セパレート・ウェイズ" とじわじわ重くなっていく。
一旦 FIELD OF VIEW 楽曲のセルフカバー "Last Good-bye" で吹っ切れようとするけどそれも「グッバイ」であり、次こそ "星のかがやきよ" はハイテンポだけど「星の輝き」って最後のやつだったりするし、"月に願いを" 、"あなたと共に生きてゆく" でまたしっとりして、例の栗林楽曲 "I can't tell" は明るいけれども走馬灯のような懐古 or 回想感があり、ずっと「もう終わりそう」感が絶えない。でもなかなか終わらない。
ラス前 "good-night sweetheart" 、ほんわかほっこりな曲調だけども、この曲順で「グッドナイト」って目覚めないやつですよね、実際目覚めなくなってしまいましたものね。

そして "君と今日のことを一生忘れない" 。
"きっと忘れない" というヒットシングルがあるが、あれとは似ても似つかない、イントロからして重い曲。最後のオリジナルアルバムの最後の曲がこれって、とても相応しいような悲しいような、でも徳永暁人楽曲の中では随一と言いたいくらいのとても良い曲で、毎年この時期になると聴いている。うそ。時期を問わずちょくちょく聴く。それくらい好き。後期 ZARD で最も気に入った曲。


全体的にコーラスの主張がでかいところがあって、果たしてメインボーカルも一部は坂井泉水は実際に歌い切れておらず、レベル大きめのコーラスと交わることで誤魔化してコーラス参加のひとがメインパートをダビングしたんじゃないかと疑わしい部分もある。
好みの曲が少ない、長いと感じるけれども、そんなことを考えながら聴いていると 13 曲はすぐに聴き終わってしまう。
でも iTunes 上で再生回数を見ると、全体は5回か6回ほどしか聴いていないらしい。iTunes 以前の CD で聴いた回数もそのくらいかも。ZARD の末期を知るための作品であって楽しんで聴く感じでもないからしかたがない。
そんな中、"I can't tell" と "君と今日のことを一生忘れない" だけは 50 回近く再生回数がカウントされている。好みなので。好みならもっと聴けよとも思うが、やはりこのアルバム、『最後のオリジナルアルバム』、死と切っても切り離せないところがあり、気安く繰り返し聴いていられないのだろう。
90年代の作品は昔聴いていた感覚が今と変わらず、また歌より主にアレンジの方に耳惹かれるので、死とかなんとかあまり気にならない。



毎年この日が近づくと何か書き残そうとしては思い出や知ったか知識自慢を並べるばかりで言葉がまとまらず何も残さずに来たが、今年はなんとか、こんなもんで。