カドサバファイブ
無人島探査アンドロイド2機目。
一人でもファイブの話、続き。
55日目。

粘土のクーラーができた。
順調。
58日目。

嵐の中、木工を続けて盾が作れた。
59日目。

嵐の中で作業し続けたが寒気により身体に危機が。
いや、アンドロイドに寒気など無縁だが、強烈な嵐の影響で特殊合金チタン製ボディの鎖骨の隙間から何かが入り込んで少し支障をきたしたようだ。という分析結果を確認。
62日目。

皮の水筒をつくった。
先行挑戦者が残した乾季への備えのひとつ。

よくない。
高精細知能コントロールシステムのドライバユニットに悪影響を与えるロンリネスデータ、つまりバグの一種。その発生を防ぐワクチンプログラムは次世代の量産10号機から組み込まれたので、私にはこれを防ぐ手立てはない。
始めからリミットが仕組まれた探査活動だったのだ。
64日目。

カモメ小島に泳ぎ着くことができた。
昼過ぎに戻ろうと思ったが難しく、帰ることができたのは日暮れ前だった。
特段の収穫もなく。
66日目。

高科学特殊合金製強化ハイグレードチタン製ボディ&ブレインがこの島の日差しと高熱によって熱中症を訴え始めた。
嵐、雨季が去り、乾季に突入するようだ。

アレンビック、海水を真水に変える土器。
ギリギリ間に合った。
67日目。

コブラに初遭遇、難なく仕留めた。

ズボンを作った。
超高度サイエンティフィックフューチャープロフェッショナルチタン製ボディの耐熱効果もここの殺人的な日差しには弱いようで、ズボンで気休め。
74日目。

ストレス対策になるのかと香りのいいキャンドルを作ってはみた。
アンドロイドに効果のほどは理解できなかった。
75日目。

木のシャベルを作っ暗っ。
76日目。

皿や容器に大量に保存していた水は飲み干し干からび、アレンビックでの蒸留が追いつかず水分ジリ貧、渇水の危機に見舞われるようになり始めた。
78日目。

移動路を整備する手立てを考えついたが、実行するための資材、それを集めるための体力を保つための水が。
79日目。

万一の頼みの綱のひょうたん水も飲みきってしまった。
80日目。

ヤマウズラの捕獲、生け捕りに成功した。

自宅の囲いに連れ帰り、育てることにした。
家畜がいれば寂しさも紛れるのではないか。研究所ではそのような議論もあり、今回はその結論を出すのが目的のひとつであったが、水がしかし。
82日目。




アンドロイドが渇きごときでなぜ。
ブリキの身体自体に特に問題はない。島全体の乾季、地面が乾く、砂が乾く、枝葉が乾く、空気が乾く、海水が乾く。砂が舞う、埃が舞う、木屑が舞う、塩が舞う。それらがハイテクメカニズムのあらゆる部位の稼働を阻害し、つまりそれが人で言うところ脱水症状、脱水死に繋がるというわけだ。専門的に言えばもっと難しい話だが、おおまかに言えばそんなもんだ。イデオンだって謎の粉で合体を阻害されてたじゃん。あんな感じの理屈。屁理屈。
どうすればよかったのか。
ファイブに記録されたデータは独自ネットワーク通信を通じて兄弟機たちに共有されている。門鯖研究所の元所員たちもそのデータになんらかの手段でアクセスし調査・研究を続ける。
だがこの設定がいまいちなので次の挑戦者が何者になるかは誰も知らない。
おわり。