オッダダ? 読み方不明。
少し前に簡易シーケンサー、或いは簡易 DAW 的なデスクトップ作曲ツールが Steam に有ったりしないかと探していて見つけたゲーム。作曲ツールではありつつ、知育玩具風なパズルゲームのようでもありつつ、ゲーム的フォーマットの上で音遊びする場、みたいなもの。
買ってやってみた感想としては、半強制作曲マシーン。
ゲームを起動してから終えるまで、文字情報による説明がほぼ一切無い。
無味簡素な空間に積み木のようなブロックトイのようなオブジェクトが現れる。適当に触っていじりまわすと一定の法則に従って色んな音が鳴るようにできている。その法則やルールを探りつつ、ループ間隔やテンポやリズムも感覚的に探りつつ、音階を掴んで自分好みのメロディーや音を組むのは絶対音感があろうとなかろうとかなり難しいだろうが、見た目に反して様々な制限が課された中で8小節くらいのループ音を作る。
画面端には積み木の機関車みたいなのが常駐している。ひとつのループ音を気の済むまで作ったら機関車の鼻(先端)のスイッチを押すと、機関車が次の画面に進む。
次の画面に停車すると、また違うタイプのおもちゃオブジェクトがあり、また手探りで音の出し方を見つけ、適当なループ音を作る。
このようなことを6画面、ループ音6つ分作る。
6つのループ音は要するにひとつひとつ順々に作曲した個別パートで、6つ作った後はそれらを6トラック同時再生の音楽として鳴らす。機関車はつまりシーケンサー。おもちゃのオブジェクトで音を組み上げる作業はつまり打ち込み。一部アルペジエイターのような所もあり、こんな音入れたくないけど他にやりようがないみたいな音にせざるを得ないこともある。
最後の6音同時再生時は、ぶっつけ本番のレコーディング。
機関車が走る。機関車に連結された6トラックの貨車のうちのどれか一つの再生ボタンを押すとレコーディングスタート。できることは6トラックのループのオンオフ、貨車の高さをマウスドラッグで伸縮させての音量上げ下げ。レコーディングというよりリアルタイムミキシングか。他には画面端に吊るされた太陽風のオブジェクトをクリックするとシンバル音が鳴る。適当にアクセントでも付ければ、と。
こうして1分前後の曲を録音。一応リテイクも可能。
録った音楽はカセットテープとして残される。まっさら真っ白のカセットができたら、色付けし、レタリングみたいな文字で曲名を入れ、絵文字みたいなのを貼り付けたりして自分好みにデザインできる。
デザインが済んだらカセットプレイヤーのあるとこに進んで、できたカセットテープを再生して聴ける。巻き戻して何度でも聴ける。プレイヤーにカセットの抜き差しも自由自在。
OP-1 のテーププレイみたいに、止める時にギュンってなったり再生ピッチをいじれたり部分リピートできたりなどかっこいい再生機能などは無い。10ドル程度のゲームに数千ドルの音楽マシンの高機能を求めてはいけない。
再生して聴ける。何度でも聴ける。それで何が悪いか。
できたカセットテープの保管もできる。
20本くらい入れられるボックスケースにしまうことができる。カセットプレイヤーの開け閉めに続き、こちらのボックスも開閉可能で、その上施錠もできる。誰得。他にこだわるとこなかったんか。
ボックスの横には簡易シュレッダーみたいなのがあって、不要なカセットは削除できる。カセットと一緒に中身の音楽も抹消される。
カセットの保管場所がなくなったらそれ以上作った曲を保存できないらしい。が、シュレッダーの隣にはおもちゃのパソコンみたいなのがあり、そこのカートリッジに任意のカセットを挿せば、中の音楽を WAV ファイルとして出力し、ユーザーのリアル PC 上に保存することができる。
よくできているというかなんというか。
1曲、カセットテープ1本を作ると、謎のガチャを強制的に回させられ、新たな作曲ツールを与えられる。メトロノームが追加されればテンポをおおまかに変更(恐らく BPM を倍にしたり半分に)できるようになり、音叉が追加されれば音階、おおまかなコード感を変えられるようになる。とか。
トラックごとに使える楽器の指定みたいなことはできず、ここでこうすればドラムの音が鳴る、ベースっぽくなる、というのを自分で見つける必要があり、どういうリズムになるかもおもちゃシーケンサーの動作パターンによって予めおおまかに決められているので自分好みの曲調には簡単にしづらい。
先々ツールが揃えばもっと色々できるかもしれないが、例えばローファイヒップホップ風味を狙ったのに稚拙なテクノポップみたいにしかならねえ、という感じにお粗末っちゃお粗末。予想もつかない曲がてきる面白味があるとも言える反面、想定通りにできない苛立たしさも伴う。
でもまあ、割引千円程度で買った『楽器』、『音楽ツール』としては十分。昔はこれくらいのもんでも一万や二万下らなくてそれでも安い方だったから、時代はまただいぶ進んだ。
まとめると全体的な印象としては、絵描きゲーム「パスパルトゥー」とか、ステッカー作りゲーム「スティッキービジネス」とかと同ジャンルで、そういうやつの音楽版と言ってもよさそう。故に猛烈な速さで飽きること確実。
以上。
肝心のできた音源ファイルは、ここには上げる場所がない。