RETURNS

X JAPAN「ART OF LIFE」の実演模様が観たくなったので、DVD 買った。

「X JAPAN RETURNS」
1993 年の年末二日間行われた東京ドームでのライブを収録、再結成後の 2008 年に発売されたもの。両日完全収録＋特典映像を加えた完全版７枚組というやつと、各日一日分のみを収録した各３枚組のやつがある。「ART OF LIFE」が観られればいい、ほかは不要。収録曲と購入者のレビューを参考に、一日目、12.30 のやつだけ買った。とりあえず。

DVD ３枚、200 分超、観た。
考えてみればエックスを知って以来、好きになってはまっていた頃を含めて二十何年、まともにエックスのライブを観ることなど、生現場どころか映像でも無かった。これが初めてなのだった。音楽情報誌のライブレポートなどはよく読んでいた気がする。
「WORLD ANTHEM」にのって登場。なるほど、やはりこんな感じか。
メンバー各々のソロコーナー、苦笑するばかりだった。

目当ての「ART OF LIFE」。
楽曲全体三部構成のうち一部二部はすばらしいと思った。が、三部、最後の大サビパートは、PATA が変拍子を見失ったのか、HIDE とハモるギターフレーズがずれてしまったり、TOSHI が最後の最後のリフレインもう一回分をトチりかけたりと、聴かせどころでの大きめのミスがあってちょっと残念だった。完璧な演奏を求めるなら音源を、か。

他、「オルガスム」での長い長い間奏遊びに顕著なように、打ち込みや事前録音の同期音をいっぱい使っているのが気になった。「ART OF LIFE」の二部、YOSHIKI のピアノソロも半分は YOSHIKI 実演ではないし。ストリングス系も音源のロイヤルフィルハーモニックな録音演奏を使わず、明らかにシンセストリングスの打ち込みに差し替えているところがあった。

あと、バラードだろうがなんだろうが、とにかくいつでも奇声を上げるファンがかなりの数いるようで、多少耳障りなところがあった。ヨースケー！って誰。そういうひとたちは、歌や演奏をちゃんと聴いているんだろうか。そもそもライブ、コンサートにおいて、聴きたい、聴こう、という意思があるのか。
アイドル方面のライブにおいても、演者のパフォーマンスそっちのけで自らが曲に合わせて動いてその場のノリを楽しみたいだけ、みたいなひとも結構な割合いるらしいので、要はそういうのと同類ということか。
そういえば昔からライブを観に行きたいと思うことがほぼ無かったのは、エックスにおけるそういったファンの存在を認識していて敬遠していたのかも。

など、気になる点は少々あったものの、全体だいたい楽しめた。
「ART OF LIFE」以外では「Silent Jealousy」「Standing Sex」「CELEBRATION」「X」が良かった。欲をいえば「ENDLESS RAIN」よりも「Say Anything」の実演を観たかった。

そういえば「CELEBRATION」、HIDE の曲では YOSHIKI も１ロックバンドの１ドラマー、みたいな感じになるんだな、と思った。「Silent Jealousy」や「ART OF LIFE」といった YOSHIKI そのものな曲ではふつうのリズム隊的ドラマーとは違う、歌やギターに並ぶパフォーマーのように感じる。だから「CELBRATION」での、わりとドラマーらしいドラマー感が新鮮に見えた。
そうやって考えると「ART OF LIFE」に関しては、リズム隊は heath のベースのみという感じがする。不思議なことにあの長い長いギターソロの間、HIDE や PATA のギターが歌い、ストリングスがコーラス的に重なる中、ドラムも歌っているように聴こえる。
それらが「ART OF LIFE」の主パートで、TOSHI のヴォーカルはむしろ間奏部のよう。ギターとドラムがメインの曲の中に、ヴォーカルソロパートがある、というふうにも思える。前半部のみに関して言えば。

バンド自体、フロントのはずの TOSHI よりも YOSHIKI の方が看板になっているので、楽曲や演奏パフォーマンスにおいてそう感じてしまうのも当然のことか。TOSHI があんな直立ヘアーをしていたのも、フロントのヴォーカリストとしてバックの楽器隊より目立つように、ということからだったのかな。大抵は逆なのに。それを下ろしたのは、要するにのちの脱退意思表明に繋がることだったのかな。
といったようなことを、観ながら無駄に考えたりした。今更。

おもしろかったが、何度も観るだろうか。
三十一日の方はどうしようか。もう一度観ることがあれば、その時にまた考える。

X JAPAN RETURNS 完全版 1993.12.30 [DVD]