BINTA

BOOTSFIGHT IN THE AIR

不滅のあなたへ

1期、全 20 話。
自分の心身に刺激を与えた者に擬態/物を複製できる不死身の存在、人間の少年の姿をした「フシ」が、一人旅の行く先々で様々な人と出会い、過酷な運命と人の死に対峙しながら、存在理由や色んな謎の答えを求めてどこかへ向かう話。

今春以来1クール半、20週の全話に渡って毎週の雑感で長々なにかと書いてきた。今更改めてなにを書いたものかとも思う。

どこに惹かれたかと言えば、やっぱり死。不死の主人公に対して周囲の人間に唐突に訪れるあっけない死。そこに至るまでのギャグテイストも入れつつの明るい盛り上げ、激しい戦闘、勝って救ってカタルシス、かと思ったら全然残酷な悲劇。その繰り返し。
繰り返しなんだけども、津田健次郎演じる「観察者」のモノローグ等々から悲劇に至ることも読めるんだけども、明るい平和期間の尺、そこから悲劇に落とすタイミング、落とし方、そしてすべてに渡って過剰も不足もない脚本、それらが毎回ため息が出るほど良くて、予想していた悲劇がやってくるたびに号泣。待ってましたとばかりに涙腺が崩壊するのだった。いや、悲劇の匂いがしてきた時点で明るいやりとりでも既にうるうる来るほどだった。
声優の芝居にも白けるところがなく、また流行りの一線級人気声優をほとんど使っていないということもその点には寄与していたかもしれない。
総じて計算高い。原作が恐らくそのように研ぎ澄まされ練り上げられたものなんだろうが、アニメもきっとその作風を濁らせてはいない。こんなのなかなかない。

が、夏期の2クール目、上のような評点がすべて、そうとも言い切れないなーという感覚に下がったのが所謂「ジャナンダ編」だった。残酷、悲劇が待っているストーリー性は変わらなかったが、何か事が起こったりキャラ紹介だったり、それぞれにどこか間延びしたようなかったるさが漂うようになった。
また、マーチが苛まれた運命、グーグーの身の上の不幸にはやたらと泣かされたが、ジャナンダのトナリほかの生い立ち等々には全然ピンとこなかった。作者先生の計算機ぶっこわれたのかな、なんて。
最終回 20 話のピオランのエピソードで持ち直してプラマイゼロにはなったが、来秋予定の2期には不安が残る終わりだった。

マーチ、グーグーで残酷悲劇のパターンを理解して慣れてしまったからそんな感じになったんだろうとも思うけども、パターンが読めた上でも泣かせる持って行き方をしてくるのがこの作品のすごいところ、だと思っていたので、返す返すもジャナンダ編は惜しかった。
2期の前にもう一度観直したら違う評価になるとは思うが。