BINTA

BOOTSFIGHT IN THE AIR

カードサバイバル 九人目

カドサバファイブ。

門鯖研究所が作った無人島探査アンドロイドの一体。
正常稼働が確認できたフォーウ(四号機/前回主人公)の製造工程を元に、故・門鯖博士は次々と量産機を生み出していた。
そのうちの最初の5体は「戦隊モノと言えばゴーグルファイブ。『~マン』でも『~レンジャー』でもないのがカッコいい。」が口癖だった生前の博士の我儘から『カドサバファイブ』と名付けられた。
5体連携する思考アルゴリズムとかなんとかを組み込まれたりしたのち、無人島挑戦に向けたトレーニングなどを日々繰り返していたが、ある日「なんかわからんけど無人島は一人で行くものらしいです」という研究所員の発言をきっかけに5体中4体が突然機能停止し沈黙。その原因を調査中にフォーウの失敗と博士の爆死事故が起き、沈黙した4体を含む量産されたアンドロイドたちは騒動の中どこかへ消えてしまった。
残されたのは無謀にも博士の遺志を継ごうとする物好き研究所員数名と、カドサバファイブの沈黙しなかった1体のみ。この残った1体にそのまま「カドサバファイブ」の名を引き継がせ投げやりに無人島に送り込みつつ、所員たちは消えた他の機体の捜索を始めるのだった。

尚、量産機である5号機~9号機はルックス共通、行動・思考パターンも連携のために共通・連動しており、博士や所員ですらどれが何号機かは把握できておらず、「ファイブ」を名乗りながらも残ったこの一体が5号機かどうかは不明。



この流れで無人島生活の方の話に行くのはおかしな気がしつつ



スタート
初日。

ポンコツ
ちがう。
5体連動前提のプログラムであったのを急ごしらえで一人行動式に変えたので、機体の調整がうまくいっていないのだ。というデータ分析結果が出ている。



5日目。

どうだ。自律 AI による調整が済んで、過去挑戦者のデータを参照しながら問題なく5日を過ごすことができた。
が、行動記録システムの回路が初日の落下時に少し損傷したのか、四日間の詳細データが飛んでいる。ひとまず前回の兄弟機フォーウの時よりは降水頻度が高く、早々の脱水死の可能性は低いようではある。



12日目。

過去120日を生き延びた何某氏は、メンタル面で困窮しつつもあらゆる物資を持て余していたという。中でも石や木は多様に使い道があるにも関わらず無駄に貯めていたそうで、その点を考慮して我々アンドロイドには「どんどん石の斧を作りどんどん木を切っていこう」という高度な思考プログラムが組み込まれている。



20日目。

兄弟機フォーウが果てた13日を難なく超えていた。

小屋を作った。
記録が残せていなかったようだが「動物の囲い」はこれ以前に既に完成している。
石の斧積極作戦は亡き博士の目算通りうまく働いたようだ。

クラフトに多用する「木の棒」は木やヤシの木を斧で切ることで入手できる。その際葉やヤシの葉も大量に出るが、先行挑戦者たちは葉を持て余すことに気が引けて木を切ることに消極的だったという。
そんなのは杞憂だ。
葉(新鮮な葉)は大して使い道がないが必要分以外は放置して枯れ葉にしてしまっていい。枯れ葉も邪魔なら放置していい。ヤシの葉は鮮度を失うと消えてしまうが、もったいないなら編んでヤシの織物に変えればいい。織物なら自然消滅はしないし、衣服等々に使い道もある。いーや、どうせ大量に取れるのだから放置して消滅しても大した問題ではない。

木を切って木がなくなってしまったらまた散歩すればすぐに見つかる。散歩は周辺散策が完了(100%)した後も延々続けられる。要するに木は無尽蔵に生えてくると言っていい。生えさえすれば木の棒も取れる。散歩の最中には石が出てくることもあり、石の斧もまたいくらでも作れるわけだ。

といった話を、かつて博士は所員たちに伝え、我々の思考プログラムに反映させたそうだ。



21日目。

ウミヘビに噛まれた。アンドロイドにとってはどうということはないはずだが、「噛まれると微毒が回り足に痺れが走る」という先行挑戦者のデータを「=無人島生活者らしさ」として鵜呑みにプログラムされており、しばらくの間わずかながら行動に支障を来たす。
が、気にしなければどうということはない。



24日目。

運搬用ソリを作った。
雨は頻繁に降り続け、大雨も時折来るようになった。
水に困らないので問題はない。



26日目。

織機を作った。
「織機を作る機能」でなく「衣料品を直に生産できる機能」を付けた方が早いのではないか。という話もアンドロイド製造過程において議論されたそうだが、しばらくの静寂の後にその会議は終了し、件の疑問を提示した所員はその晩不運にも事故死、やむなく織機を作る方が採用されたという。



30日目。

脂肪を求めてヤギを狩り、食糧は潤沢時代に突入。



33日目。

猿に噛まれた。
「痛い」というのは、アンドロイド=特殊合金製人型ロボットの皮膚に噛みつき、噛んだその歯が欠けるなど激痛を感じた猿が発したものである。
猿が人語を? いや違う。正確にはその時の発声を文字に起こすと「ギアァイー!」であったが、我々に組み込まれた音声解析 AI がその音を自動的に「痛い」と変換したのであり、実際猿がその時に何と言いたかったのかは猿語データの解析ができず理解できなかった。



34日目。

窯、ふいご、土器の準備ができたので、焼く。



35日目。

嵐の季節が来たようだ。



44日目。

嵐に度々見舞われつつ地道なクラフト生活を続けてきたが、猿に噛まれた傷が完治するのに十日かかった。一時メンタルセンサーが危機的反応を示し何事かと解析したところ、葉の包帯が破れて数日傷の治療が進んでいなかった。
アロエジェルや灰の包帯を作って手当て後、また数日して完治に至った。人間らしい機能システムは面倒なものである。


同日。

貯水槽ができた。
今は困っていないが、いずれやってくる乾季への備えが早くできてよかった。



50日目。

難なく五十日。
フォーウはよっぽど運がなかったと言うほかない。

まともなベッドができた。
これも石の斧積極作戦の効果と言えそうだ。



52日目。

大木~丸太から木材を切り出し、椅子を作った。
先行挑戦者の誰もが作り得なかったものだ。これも石の斧のあれだ。


食糧、水も潤沢だが、遠方の探索を進められていないことが気掛かりではある。




なんとなく World End Diner のプレイ記録の語り口と似てしまっているので、アンドロイド設定は失敗だったかもしれない。かといってここまで書いて別の設定で書き直すのもな、って。
設定とかこんなもん全く不要なのだが、これが自分なりの RP(ロールプレイ)。配信世界に行けない自分なりの表現方法。



つづく。