BINTA

BOOTSFIGHT IN THE AIR

ましろのおと

全 12 話。
青森、津軽から単身あてもなく上京した三味線弾きの少年が、都会女に拾われたり、家族に見つかり住居を与えられたりしたのち、東京の学校に通うようになり、学校の三味線部で活動、団体演奏の練習やら合宿やらで部員たちとある程度の絆ができたりしつつ、初めての大会に出場、聴衆や玄人を前に演奏。といった中で、名手であった祖父の音を追うのではない、「自分の音」を追究し悩んだりする話。

無名の新人がいきなり注目株のダークホース、実はその筋の達人の血を引いている子でしたパターン。で、最終的に負ける。というか原作モノなので、アニメ化のために切り出した一節は負けるところで終わる部分でした、と。たぶん続きもやりたいんだろうな。2クール分やれればキリ良く勝ち終えるようなところにもいけたんじゃないか知らんけど。

しかしな、骨子はそれなりでも、三味線、地味。
作画や絵の方面にはべつに贅沢言わないし、声優陣もわりと好きな方々が出ていたし芝居も地味と言えば地味だが渋いとも言える感じだったし、全体わりとおもしろく観られた。が、これ続編有りか?先を知りたいか?っていうと、どうだろう。
地味、あと暗いし。主人公の暗さをどうにか薄めるべくギャグキャラや空回り陽キャラが居たりしたが、そんなもん付け焼き刃。いらんいらん。

地味、暗い、で伝統云々が染み着いたものだからうっすら重い。表面とバックボーンがそういう売れない要素でできているんだから、せめて話はすっきり爽快に勝って終わってほしかった。そこはもう予定調和でもご都合でもいい。っつっといて実際そんな終わり方したら肩透かしだなんだ文句をつけた可能性もなくはない。

あと1話にメインキャラっぽく登場した都会女やずっとセツを気に掛ける食堂の娘もなにか伏線なのかと思ったらほぼ何も機能せずじまい。投げっぱなし感ね。
その他大人キャラたちはそこそこ重要なはずだがそれはもっと後々の話であろうからこのアニメ 12 話分においては少年にとってただ嫌な奴らでしかなかった。
だからってそいつらとの関係がどうなるかってところで続編期待するか? その要素たりうるか?

最大の問題は、主人公の三味線演奏の一番良いところで演奏音をフェードアウトさせて、サントラによる BGM(主にピアノ音)にクロスフェードで差し替えてしまうという演出。三味線アニメなのにメインを舞台から捌けるってなんなの。
三味線の音にしても、登場人物たちは奏者や曲中の弾き方によっての音の違いや変化を都度口々に言っていたけど、その筋に詳しくないこっちはなんのこっちゃわからん。もう少し具体的な解説が欲しかったが、そこは原作よろしくってことか。

この作品きっかけで三味線に興味を持って弾いてみたいと思うひとは居るのかね。劇中で言っていた上達法は要するに「練習と年季」あるのみってことみたいで、音の良し悪しに関しては血筋とか家系とか出自に大きく影響されるみたいじゃないすか。それらを別にしても、時間かけて練習重ねた先でやっと演奏して出した音は良いところで消されてピアノに邪魔されるんだから、やりがいないやね。

あと、半クールで OP を変更するのもどうかと思った。好める点もそれなりにあったのに、なにかちょこちょこ中途半端に感じる残念なアニメだった。