BINTA

BOOTSFIGHT IN THE AIR

戦闘員、派遣します!

全 12 話。
女性幹部が束ねる悪の秘密結社「キサラギ」から地球と似た惑星に派遣された強力戦闘員男と無敵アンドロイド少女が、辿り着いた現地の国の女騎士やモンスター少女や呪術女を仲間に、敵対し襲ってくる魔族やモンスターなどと戦いつつ、秘密裏にその星の征服のための調査を行い大小色々な悪事を重ねる話。

1話の印象から変わらず、原作者が同じ「この素晴らしい世界に祝福を」と芸風ほぼ同じ。下世話な主人公男の主人公らしからぬクズな行動言動と、それをたしなめたり乗せられたり流されたりする周囲の女の子キャラたちとのわいわいが主軸のコメディ。ラブなし。
世界との関わりとか戦闘とかの筋立てられたストーリーはただの舞台というか台本というか。吉本新喜劇でギャグを披露するために設定された舞台設定と同じようなもん。暁なつめ作による小演劇の2作目といった感じ。

その場合、ギャグをこなせるキャストが重要だが、そこはアニメなわけで、絵と演出がそれなりならば意外と誰がやってもいいんだなと、この作品では思った。メインキャストで最も名の知れたのが富田美憂、それ以外はクレジットで名前を見かけることはあってもパッと声の印象や出演作が浮かぶひとはいなかった。
そんなキャスティングであっても笑いを狙って来ているところでは大抵ちゃんと笑えたし、全体悪くはなかったと思う。ただそれは「このすばの作者の作品」という前提があってそれを認識した上で観たから、このすばベースの笑いだという解釈で楽しめただけなのかもしれない。この作品単体でこのすばに比肩しうるパワーがあったかというと、そうとは言い難い。

前段と矛盾した話になるけども、作品を理解して楽しむ上ではキャストは誰でもよかったが、ハマるとか惚れ込むレベルに至るにはキャストの力が及ばなかったと思う。特にこのすばと比べた場合は。比べちゃいけないが、比べないでも単純に同じように感じるところはあった。
個人的に気に入らない一部の声優は別として、ぶっちゃけた話、この主人公が福島潤だったらどうだったかなとか、メインキャスト全員このすばと同じだったらどうだったかな、と考えてしまうことが多々あった。
内容の一部にこのすばと通じる要素もあったから比べてしまうのもしかたがないこと。むしろこのすばを好んだ層に向けて作られているところも多分にあると感じられたし。

この作品における最大の評価点は、「悪行ポイントが加算されます」という大久保瑠美によるナビゲーションボイスだった。厳密に言えばエンドクレジットにおける『悪行ポイント 大久保瑠美』っていう斬新な表記も込みでの評価。
この大久保瑠美という絶妙なキャスティング、そして多くの場面でオチにもなる、時にツッコミにも聞こえる毎度トーンの変わらない音声は、挿入される時の間も含めてとても上手いと思った。
ただこの部分は、この作品にとっては内容の一部構成要素に過ぎないわけで、必要がなければ出てこない回もあり、特に最終回に無かったのはとても残念だった。
いや、でもそのくらい控えめだからよかったのかな。しつこいくらい連発されたらつまらなくなったかも。