BINTA

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蜘蛛ですが、なにか?

2クール全 24 話。
とある高校の一クラス、教師と生徒全員まるごと異世界転生。ある者は王族の家に生まれ勇者に、ある者は兵士に、術士に、エルフに、ある者は性別が反転していたり、ある者はモンスターになっていたり。
そんな中、主人公女子は、蜘蛛。しかも洞窟らしき大迷宮からのスタート。食うために、生きるために、可能な限りの手を尽くして襲い来る敵を倒しているうち、徐々にレベルを上げ成長を重ね、スキルを増やし、クラスチェンジ~変態を重ね、強大な魔物との死闘をも乗り越え、いつしか生まれ育った迷宮はおろか世界でも伝説級に恐れられるほどの強力な蜘蛛モンスターとなっていた。
一方、十数年を経て各々立派に成長した元同級生の転生者たちは、それぞれの身の上や思想の下に手を組んだり敵対したりしつつ邂逅を果たすが、やがて大きな戦に飲まれていくのだった。といったような話。

まーた異世界転生かー、しかも悠木碧かー、早口コメディかー芸がねえなー、くらいの即1話切り確定と脊髄反射で判断してしまう1話ではあった。が、前半クールの ED 主題歌の勢いにやられた。やられたんだなありゃ。悠木碧のほぼ一人芝居と言えるやや空回った蜘蛛独擅場の本編のあと、そのハイテンションでは足りないとばかりに激烈に言葉連打してくる歌ではない歌に口あんぐり、これなんかおかしい、1話で切ってはいけなそう、と感じた。ような記憶がある。

そして、キャラのテンションはくそ高くて1シーンでのテンポも速い感じなのに、異世界転生ではお決まりの速攻強くなって俺C(ツェー)というふうには安易に持っていかないところも、妙な感じがした。
危機に瀕しては成長し1コずつレベルアップ、じわじわ強くなっているっぽいけども、出てくる敵もヤバいのかしょぼいのか判然としないやつが続くし、しょぼそうなやつにもやられがちな蜘蛛だし、勝っても成長してもいつまで経ってもダンジョンを出ないし、一方人間たちとの関係性は見えないしで、ストーリー的には中盤までいまいちすっきりしなかった。

でもそれもこれも手だったんだろうな。ありふれたようでいて出来合いのパターンからは微妙にズレたキャラクター、話、展開。そのズレが気になって、そこがつまらないと切る視聴者もいただろうけど、自分は惹かれ、面白味を感じた。
ズレってなんなのかっていうと、要はこの原作者の独創性みたいなもんだろう。多くの異世界転生作の前例でできたパターンを踏襲していないだけ、避けただけとも捉えられなくもないので独創と言うのとは違うのか。趣味趣向とか作風とか。そこんとこが自分の好みと合ったってことかな。

どこが良かったっていうことではだいたい以上のようなこと。
作画は CG が多かったな、わりと良かったけどな。それ以上に思うことはなく、わりとぼんやり観ていたっけな。
しかし最終話はひどかったな。あれでも一週延期したんだってな。力尽きてますがなにか?とでも言いたげに見えたな。本作に限らず最近は中韓クレジット回の方が描けている作品が増えている気がする。

声優は、そりゃここで見るべきは悠木碧だろう。「幼女戦記」のターニャと対になるようなネジの飛んだキャラクター、でも無駄にテクニックの高さを窺わせ、本来好きな声優さんではないけども、この作品でキャストとしての信頼性が上がった。ただし「スライム倒して300年~」で下げたのでトントンプライマイゼロ。あ、でも「さよなら私のクラマー」でちょいプラス、だった。
他は、誰がどうってことでもないが、悠木碧と同クラスか同キャリアくらいの名の知れた声優や異世界常連声優がたくさん出ていたので、蜘蛛1に対しての他多数との絡み or 絡まなさ具合という点で楽しめた。

ヱの序破Qの三作目みたいなところで終わってしまったので、是非2期を期待したい。そして十分な制作スケジュールと作画人員の確保を願ってやまない。