BINTA

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神達に拾われた男

全 12 話。
ブラック企業勤務で過労死した青年が、その境遇に同情した異世界の神三人に拾われ、ファンタジー RPG 風世界にかわいらしい少年の姿になって異世界転生。様々な能力も授かって、森の中で数多のスライムを従えて異世界生活を始める。
しばらくののち、森で騎士を助けたことをきっかけに貴族の一家と知り合い、やがて森を出て町に移り住むことに。冒険者資格を得たり、ギルドの依頼をこなしたりするうち仲間も増え、なんだかんだの末にスライムの洗浄能力を活かしたクリーニング屋を開業。この世界に必要とされ充実した生活を送る、といった話。

こんなファンタジー世界なのに、モンスターは居るし魔法もあるのに、魔王的な世界の脅威たる悪の存在が希薄。というより居ないのか。既に先行の誰かがそういうのを倒した後の世界なのか。そんな説明が一番最初にあったっけなかったっけ、もはや覚えていない。
要するに強大な敵がおらず、それどころか日常的に生活を脅かしてくるような者もおらず、ずっと主人公少年の無難な生活が描かれるばかり。つまりはそういう作品なんだろうけど、この世界観でこんなゆるい話でいいの? 毒にも薬にもならない、なんなのこれ? と毎回思った。最後まで思った。が、答えはない。
違う、これが答え。これがすべて。これが楽しめないなら何もないよ、という話。つまり、自分にとっては何もない作品だった。

じゃあさーじゃあさー、「本好きの下剋上」だって似たような作品じゃんよどう違うんだよ、とも思う。でも、なんか、全然違うよ。例えば、やっぱりタイトルが違うよ。当たり前じゃカス。
いや、ちがうんすよ。タイトルは内容を示すもの。「本好きの下剋上」はそのタイトル通り下剋上目指しての紆余曲折右往左往、おもしろい。
そこへいくとこの作品「神達に拾われた男」。要するにここからして何もないんだな。「男」、で? だから何? その『何?』の先に語りたいものが読み取れなかった。作者なりに何かあったのかもしれないが。或いは原作ならこの後の展開で何かあるのかもしれない。でもアニメではそのへん何も感じられなかった。
「スライムを拾った男」の方がまだわかりやすいとすら思った。よくよく考えてみれば神の存在なんてべつに必要なかったし。最後に神たち出てきたけども、タイトル回収のために取って付けたようなシーンだったし。異世界転生して、したらなぜか不思議な能力が備わっていました、で設定の説明は事足りるし。

最終的な感想としては、エリアリアという幼女が可愛いかった。
なんなら1話切りしていても同じ感想になったな。