BINTA

BOOTSFIGHT IN THE AIR

うつつ雑感 8月

仕事帰り夕暮れの交差点で信号待ち、横断歩道の向かい側にランニング途中の老紳士がゆるいテンポでその場駆け足。その時こちらの耳、ヘッドホンにはたまたま夕暮れのぬるい風に心地好く合うメロウヒップホップ。ハイハットの 16 分の裏拍が聴こえるか聴こえないかのうっすらハネたリズム、そのビートと、老紳士の全然膝の上がらない駆け足がシンクロし、音楽っていいな、って。なんかぐったり。



最近暑いせいか歳のせいか、歌やメロディーやドラムが濃い、主張が強いのは聴きたくない。昔はそういう曲ばっかり買い集めていたけど、弾けるビートも濃厚なメロディーも力強い歌ももうたくさん、かえって暑苦しい。何もかも毎年毎年繰り返し聴き飽きた。
ということで十年以上前に一時的にハマっていた洋楽のマイナーヒップホップ系を再び聴き始めた。それでもややうるさいところがあると感じる。何も聴かないという選択もあるが、それだと耳に入れたくないノイズが入ってくることもあるし、通勤がしんどいようなところもある。
何もないに近いけどちゃんと鳴っていて音楽だけど耳に留まるようで聞き流せるようで気に入るところはある、っていうのがほしい。
ねえよ。



ウェザーニュースライブ、再びハマりつつある。かわいい。おもしろい。

真面目な情報ばかりの中に急にこういうのが天然で入ってくるのがとてもいい。計算や台本の可能性も大いにある。それでもいい。



フジロック配信、ナンバーガール電気グルーヴだけ観た。
ナンバガ、序盤はどこか年季よりもただ年齢を感じいまいちな気がしていたけど、後半は OMOIDE の札幌解散ライブを思わせるような曲順も手伝って非常に良く思えた。特に「日常に生きる少女」以降の終盤はすばらしかった。音だけでもいいからもう一度聴きたい。
開催に際しなにかと複雑なところありつつも観ておいて良かったと思った。

電気は、瀧復帰、で特になんとも思わなかった。
電気は電気だなずっと。



道重さゆみのインターネットサイン会、観た。

一人でサイン書き、カメラ前で2時間も3時間も続けるだけで相当なものだが、ずっと喋り続けているのもすごい。尚且つ輪をかけて凄いというかもう恐ろしかったのが、雑談トークとサイン書きの読み上げが一人喋りの中で完全に途切れることなく繋がるその一人喋りスキル。
「~だったんですよー。えーとちょっと待ってくださいね、次の方は~」みたいな繋ぎ方ならがんばれば誰でもできるかもしれない。しかしそんなのとは次元が違う。まるで DJ が2台のターンテーブルで別々の曲をクロスフェーダーで切り替えて繋ぐように、二つのトーク音声トラックをズタズタにぶつ切りして無理矢理1トラックにねじこんだかのように、言うなればシームレスに、二つの話題が一人の口から一本になって出てくる。なんなのこれは。
しかもサイン読み上げでたびたび中断する雑談がほとんど話題を飛ばすことなく、読み上げたりお礼を述べたりのキリの良いところでしっかり戻ってきて、恐らく用意していたのであろうそのエピソードの終わりまで喋りきる。それをずっと繰り返している。さらにはユーチューブの生配信なので視聴者のチャットがあるが、そのコメントまでも時折読み上げる余裕まである。
笑顔で軽々こなしているけど物凄いマルチタスク。歌とダンス、ポジションやフォーメーションチェンジ、カメラ目線などまで同時にこなす現代のアイドルならできて当たり前なのだろうか。ほかのアイドルの配信は観る気にならないから確認のしようもない。

久々にこのひとの凄まじい能力を目にしてまたハマるかもとも思ったが、ソロで出している楽曲もパフォーマンスも特に魅力を感じないし、凄いは凄いが話している内容はファン向け以外には中身のない事柄ばかりで特におもしろいわけではなかったので、まあそんなもんだな。
でも読み上げられるファンの名前を聞いていると、その昔ラジオで同じ声で聞いたことのある名前がちょくちょくあって、見続け追いかけ続けていられるひとはすごいなとも思った。