BINTA

BOOTSFIGHT IN THE AIR

TESTSET1STST

テストセットの 1st アルバム「ファーストセット」。
CD 買った。

1STST (特典なし)



TESTSET は砂原良徳LEO今井、白根賢一、永井聖一の四人によるバンド。
結成経緯やら概要については、ネット上でも読めるインタビュー記事で幾度も語られている。以下。

『待望の初音源をリリースしたTESTSET・砂原良徳×LEO今井が語る、METAFIVEからの意欲的メタモルフォーゼ』(2022 年 8 月)
https://www.billboard-japan.com/special/detail/3621


mikiki.tokyo.jp
bezzy.jp
www.cinra.net


また、アルバム発売に先んじて砂原のインタビューが掲載された雑誌も。

インタビュー時はアルバム完成直前で内容について多くは触れておらず、楽曲詳細の語りについては上述の bezzy や CINRA のインタビューの方が詳しい。
買ったんだがこの雑誌は 1,650 円もするの。ウェブインタビューは電気代やネット回線費用を除けば実質タダなの。どうなの。だが小山田問題に触れつつ新作を語らせた巻頭特集はそこそこ良かった。コーネリアスは買ってない。



といったバンドよる 1st フルアルバム。

発売日に届いて聴いて、まず一周。よくわからなかった。
音は砂原印でとても良い。曲は、歌は、よくわからない。
歌か? 歌ではない、ラップのような語りのような台詞のような、はたまたシャウトのようなのが多い。明快にキャッチーなメロディーというのがあんまりない。

二周三周。
これは歌や曲そのものより、音や感覚を楽しむタイプだと理解。いや、理解はできていないのだが。自分には簡単に理解できないものだと理解。
そういえば "EP1 TSTST" からしてそうだった。その時なんて書いていたか読み直してみたら、今回の感想とほぼ同じだった。同じこと書いとる。
 → [音楽雑感 22夏


一週間、通勤時にヘッドホンで聴いた。日に二周聴いた。
ずっと、全編に渡ってピコピコチキチキデデデデって 16 分刻みの電子音が止まない。8ビートの曲でもディレイで 16 分の音が聴こえたりする。16 分なのか、32 分音符が1コ置きなのか、とにかく短い 16 分。印象としてその点が最も強い。LEO のボーカルの主張は強いけども、全体的には「砂原の作品」という感じがする。使用機材は KORG のあのへんかな、とか。

ギターはよくわからない。METAFIVE 小山田のギターほど目立つ感じではない感じ。相対性理論は聴いたことがないので永井という人の音が元々どんなのかも知らず、ひとまずこの作品では全体当たり障りのない感じ。余程のコーネリアスファンでもなければ METAFIVE と比較して違和感なく聴けるようなフレーズ、奏法を選んでいるようにも思える。強いて言えば。

ドラムは METAFIVE の時は高橋幸宏のドラムの曲と打ち込みドラムのみの曲がわりときっぱり分かれていた気がするが、TESTSET では白根の生ドラムに重ねて電子音のドラム音色を足していることが多いようだ。
METAFIVE では高橋ドラムのフレーズを切り貼りしたような音も聴かれたが、TESTSET ではあまりそのような処理はなさそう or 目立って聴こえない。共通しているのは所謂ドラムループとかリズムループはあまり使っていなさそう。
先日のライブ配信後のインタビューで「METAFIVE は幸宏さんが叩かない曲もあったけど、このバンドはフルで叩いてますから」とかって発言があったっけ。「ライブを意識したアルバムになっています」とも言っていたっけ。打ち込みシーケンス以外は四人の演奏で成り立つような編曲にしたということか。


METAFIVE 、と、どうしても比較してしまう。
本音を言えば、METAFIVE 楽曲の新録が入ることさえ期待していた。

"El Hop" や "Moneyman" は METAATEM 路線で強いリード曲だけど、どうしても "The Paramedics" や "Don't Move" と比較してしまい、インパクトに欠けると感じてしまう。
他は独自色を見せるものもありつつ、アレみたいだなナニっぽいなと様々に感じるところもある。聴き込むと "Dreamtalk" とか自分の本来の好みではない曲に惹かれるところもある。
"Stranger" は永井聖一によるボーカルが、SKELTON JOE "ハングマン" の矩形波唱法を想起させ、このバンドで "ママケーキ" とか砂原曲のカバーを聴いてみたいと思ったりする電気脳。
最後の "A Natural Life" は "Disastor Baby" 風でよかった。他の曲も悪いわけじゃない。駄目なわけじゃない。どの曲も嫌いじゃない。が、どの曲も METAATEM に及ばないかな、好みで言えば。もっと繰り返し聴いたらまた変わるかもしれないけども、今のところは。

METAFIVE の "Maisie's Avenue" や "Music Chairs" みたいなポップスに寄せたような曲が一曲くらいほしかった。"Bumrush" や "A Natural Life" がそのタイプと言えなくもないけど、ちょっと、もうちょっとなー、って。

METAFIVE を求める耳にはこのように聴こえる。求めるものを間違っている。



あと "EP1 TSTST" も同様だったが、全体的になんとなく暗い。
どことなく、広く雲に覆われ日差しは望みづらい、お洗濯物乾きにくい感じがする。音自体は「ピカピカに磨き抜かれた建機で旧ビルの解体作業」という音像なんだけども、なんかこうスコーンと突き抜けて胸に風穴を開けるようなものがない。そのスコーンじゃなくて。

暗いというより重いのか。
やっぱりこのバンドの経緯、高橋幸宏の死、とかそこらへん、無意識に引きずるものがあるんだろうな。作った人にも、聴く側の自分にも。



インタビューを読み、DOMMUNEライブ配信を観、各所ラジオへゲスト出演したのも幾らか聴いた。
上のような感想でもだいたい間違ってはいないようだが、暗いとか重いとか感じたのはどうやら思い違いらしい。

わからないながらも METAFIVE のらしさを継承していくのはコーネリアス他よりもこっちだと思うので、恐らく次も期待してしまうだろう。



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