BINTA

BOOTSFIGHT IN THE AIR

秋アニメ雑感 3話4話付近

チラシの裏なぐり書き。



神様になった日の3話(に限らず全体)とか
シグルリの4話とか
ああいう悪ノリのギャグ演出が面白いと思えず、無表情無感情になる。切りたくなる。特に、こういうギャグは中途半端にやるより振り切ってやりきった方がウケるんだー、とか考えて作っていそうな感じが、その思惑を察することができてしまうと殊更に寒い。
こんなので笑えるやつの気が知れん。とまで思うのだけど、大半の視聴者にはああいうのがウケるんだろうなあ。ズレているのはあれで笑えないこっちなんだろうな。
ああいうギャグが寒いということ以上に、そんな要素を恥ずかしげもなく堂々と入れている作品だということが、なんというか、悲しい。もしかしたらその点さえなければ良作だったんじゃないかと思うと、残念。

麻枝准のインタビューによると、本人の脚本執筆段階では特に大袈裟にやったつもりはなくても、アニメとして仕上げられていく過程で主に演出スタッフの勝手な解釈で寒いものになってしまうのだそうで、或いはそれはただの責任転嫁的な言い訳なのかもしれないが、まあスタッフ間で隅々まで意識の共有ができていないとそういうこともあるだろうなあ。



神達に拾われた男
あの元社畜青年が転生してこの少年なら、可愛らしい幼女エリアリアの元も相当アレかもしれない。


キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦
「キミ戦」と略してしまうといつまでたっても正式タイトルを覚えられないので略さないことに決めた。
そんなキミ戦、出てくるキャラの声の多くがやけにクセがあって話の本筋関係なく笑えてしまう。主人公部隊の隊長ミスミス、この耳に障るキンキン声、痛々しいけど何か聞き覚えがあって嫌じゃない。もしかしてと思って調べたら、思った通り、「球詠」の名監督少女・芳乃の声と同じひとだった。


BURN THE WITCH
続きが無いことを知った。原作がまだ始まって間もなく、劇場版として制作したものをアマプラで3話に分割して公開しただけとかなんとか。まぎらわしい時期に出すなよ。
継続視聴作品が1本減って助かる。けど続きは観たい。


IWGP
もしかしたらカウボーイビバップみたいな作風にしようとしているのかも。ものすごく良く言えば。しかしどうしても実写ドラマ版と比較してしまう感覚が抜けないこともあり、現状まだまだ好評価はし難い。

最近のオキシ以外

Steam にて、ここ2ヶ月くらいの間に買ったやつ。
いずれも割引率が主たる購入理由。


" ISLANDERS "
都市開発パズルゲームみたいなやつ。自然の孤島がじわじわと都市化していく様が、できあがった後で眺めてもおもしろい。3時間くらいやった。ハマると時間を忘れそう。でももうたぶん飽きた。


" Riven "
一人称視点探索アドベンチャーの古典的名作 " MYST " のシリーズ2作目。シリーズ作品の中で Steam で日本語対応で安いのがこれだけだった。2時間近くやったがまだわけわからず。MYST は何年かおきにやりたくなるのでそんな時にやろう、と積み。


" Outer Wilds "
昨年だか高評価を得た宇宙探索アドベンチャー。22 分後に太陽に飲まれる世界をループして色々探したり何かしたりする。元来不得手な一人称視点だけど「圧倒的に好評」の評価にそそられて買ってしまった。
わりと余裕で飛び立つスタートラインまでいけて探索も始められたが、22 分を待たずして 3D 酔いがやってきて1プレイ10分程度でギブることが多い。計2時間ほどやったところで一旦、積み。


" Crown Trick "
先日出たばかりのシレンローグライクダンジョン RPG 。カード系ではない正統派。ゲーム配信者のプレイ動画をたまたま観て知った。こういうのがやりたかった。
スマホシレンと同額くらいで、評判の悪いあっちを買うくらいなら PC でちゃんとできそうなこれが良さそうだと。で、やったら手応えばっちり。当たり。しかしうちの PC が悪いのか、よくクラッシュして落ちるので、幾らかアップデートを重ねてくれるのを待ちたく、積み。


" Monster Slayers "
デジタルテーブルトップフェスティバルというセールで 224 円。日本語無し。発売時期的にスレイザスパイアよりも前に出ていたと思しきそれ系ローグライクなカードバトルもの。
日本語無しなのでストーリーや設定細部の理解はいまいち、カードの効果も掴みかねるところがあるけどまあまあ直感でそれなりにやれる。けど、値段なり、あんまりやらないなこりゃ。日本語大事。


" Dicey Dungeons "
同じくフェスセールで半額。同じく StSローグライクカードバトル風。随分前から気になってはいたけど、StS ひとつでそれ系は死ぬまで十分に遊べると思って手を出してこなかった。でもデモ動画などを何度も観ていたらやっぱりやってみたくなった。公式日本語対応されているし。
やったらちゃんと面白かった。サイコロを使い、運要素が強いものかと思ったらそうでもなく、出目が悪いなら悪いなりに頭を使えばいいらしい。4キャラ目までやったがスタンダードな最初のキャラ以外はプレイングのクセが強くて難しいというか、ちょっとやる気失せた。



以上、購買欲求を満たしたかっただけでいずれも最後までやる気はなさそうだ。

Crown Trick と同時期発売で価格も同額の ”Ring of Pain” も、デモ版をやって気に入っていたけど、ゲーム性に比べて値段が割高に感じたので迷った末今のところ見送り。

休止中の theHunter 、ちょっと前に久々に手をつけたけど1時間やって手応えさっぱりで、やっぱり足音が聞こえづらいこともあり、本格的再開にはほど遠いかも。

やっぱりオキシに尽きる。
ならこれらは100%無駄遣い。

オキシジェンノットインクルーデッド 011

サイクル 860 だったか、まで来た。

ロケットミッションは 10 サイクル置きぐらいにではあるが恐らく順調に進行中。順調がどの程度のペースでどんな感じなのか基準は不明。今8回目くらいのフライトなのかな。まだ石油エンジンでの飛行距離で、研究はあと1コマ残っている状況。



マップ全景



ロケットおよび宇宙施設群

先人の知恵と自分なりの適当とのハイブリッドで一部わけわからん。アンテナ6機あるけど、1機はロケットミッションの帰還探知なので、隕石検知を完璧にするにはたぶんもう1コ要る。
長時間通勤とスタミナ、鋼鉄生産量、諸々を考慮の末に余裕があれば増設したい。



マグマ直上付近

ずっと前に原油溜まりを掘り当てた後から、その掘り進んだ穴の上の主に蒸気噴出口関係の水が度々降りてきて、いつしか蒸気が煙っていた。温度は 120 ℃ ~ 150 ℃。蒸気タービンが回せるからもったいないなーと思っており、しかしそこにタービンを直で置くと 100 ℃オーバーだから動かないわけで。でもここにさらにちゃんとした水を引いて液体クーラーを回して冷やすとなると、そのための初動電力を引くためにかなり面倒な設計が必要なわけで。

とりあえず吸気ポンプでタービンに蒸気を送るだけの単純機構を一旦作ってみたけど、んなもん事前にわかっていた通り動くわけはない。
そこでやけくそ気味に置いたのがサウナ。サウナなら蒸気は何℃でも構わない(サウナ自体がオーバーヒートさえしなければ)。サウナ使用後に出る排水は80℃。これを蒸気タービンにぶっかけて焼け石に水程度に一瞬冷やす。冷えてないけど、一瞬稼働する。その80℃か90℃程度になった一瞬、下から 150 ℃前後の蒸気を吸う。
タービンが 150 ℃の蒸気を吸って一瞬やる発電ってのは、ほぼ無いに等しい。つまり、これだけまわりくどく仕込んでもほぼ意味なし。知ってた。でもサウナは使えるようになった。

タービンは回らない、この地底に電力設備を敷くのは面倒、ということでサウナの電力源は人力発電。拠点からやや遠い地底にはるばるやってきて人力で回し、サウナを利用。なんならサウナ後のにこやかな子がその帰りの足で人力を漕いで行ったりも。士気の収支はトントンどころか全然。本当に意味なし。
強いて利点を挙げるならば、指示待ちを潰せることくらい。



スリッカーズ

このコロニーでは複製ポッドからスリックスターがなかなか出てくれず、結果として炭素スキマー施設としてのスリッカーズ厩舎は設置することがなかった。
今回のこれは 100 サイクルくらい前にようやっとまともな卵が出てきて、地底方面に二酸化炭素がたまっているのが気になっていたので、やっつけ厩舎をつくって放り込んでおいた。元々は黒々としたモヤだらけだったのが、いつの間にか黒は無くなり緑が降りていた。

やがて絶えるだろうスリックスターも、塩素も、処理に困って放置状態。
漂白石を作る塩素室は既にほかにある。




食中毒菌大繁殖フェア

事の始まりは、100 サイクルだか 200 サイクルだか前に雪氷間欠泉を開けたことに起因する。
雪氷間欠泉という神の恵みを扱うのは初めてで、その冷水の効力がどれほどのものか実感として知らなかった。知らないままに、適当に気温高めのところに輻射パイプをぐるり張り巡らせてしばらく放っていたら、いつしかそこらはサーモグラフィで見ると真っ青。
最初は嬉しかったが、その冷え方、寒さではバディが枯れる。殺菌効果のある花粉が飛ばないどころか、バディ自体が鉢植えから落ちる。なるほど問題視されるのはこういう点かと納得。

さてこの雪氷間欠泉のほど近いところにもうひとつ、汚染水噴出口があった。30 ℃の汚染水を出すというやつ。あー、これを開けて混ぜ合わせたら丁度良い感じのぬるい汚染水になるな、と表示されたデータもよく見ずに開けて、あろうことか雑に放置した。
知らなかった、いやどこかで読んで知識はあった。汚染水噴出口の汚染水には大量の食中毒菌が入っており、そのまま使うのはやばいとかいうことを。でもその汚染水がこの汚染水だとは気づかなかった。
気づいた時には既に真っ黄っ黃。この汚染水は浄水して各地の電解装置に送っている。各地の惨状についてはもうなんとも。しかし普段の神経質気味な防菌意識が幸い、拠点内や大半の場所にはバディの鉢植えをしつこいほど設置しているため、食中毒菌の繁殖は電解装置近くの局所的な範囲に抑えられていた。電解装置→吸気ポンプ→パイプ→通気口を経て拠点内に入っているところでも今のところは花粉の方が勝っている、か、拮抗して無菌状態。

出てくる気体の分はいいとして、源水の方はどうすべきか。
気づくのが遅すぎてセーブデータをいくらか戻っても手遅れに過ぎる。
どうやらがぶ飲みフィッシュなら有毒汚染水を無菌の真水に変えられるらしいので、もう相当無理はあると思うけども、解決の道はそれしかないかも。
或いは一旦その汚染水を全部地下のマグマなり宇宙空間なりに捨てて、水槽を空にして除菌してからきれいな汚染水を貯め直すしかない。きれいな汚染水。



そんな現在の拠点

デッドスペースが増えている。

土がなかなか増えないのでピップ厩舎を増やした。
ピップを不機嫌にさせないためには毛づくろい端末を置いて厩舎にする必要があるが、ピップの餌であり土の元であるアーバーツリーの代謝を早めようと思うと農業端末を置いて農地化する必要があり、1部屋で2つは兼ねられずとても悩ましい。そのため2種類別々に部屋をつくったが、結論から言ってピップとアーバーツリーで土をつくるよりも、堆肥置き場を複数つくって優先度を上げて汚染土をこねくり回しまくった方が遥かに効率的だった。
ずっと残 40 トン前後から変わらなかったのが、ここ数十サイクルで 60 トン弱にまで増えて、ピップいらんわ。(要る。)



ふさふさスリックスター

酸素バカ食いするばかりの穀潰しで不要だと思っていたけども、電解装置~水素発電を主軸にすると鼓膜破裂するほど酸素があふれるため、なるほどそのためにこの子らが必要なわけかと実感として理解。
それでも拠点外で飼っていたのを、もはやスーツなしの拠点内で鼓膜破裂しそうな気配だったため内に迎えた。とはいえ丁度いい厩舎を用意しづらかったので物置きみたいなところに放置。
たまに酸素供給システムが何かで事故って止まると、この子らが死線を引き寄せる。非常用に酸素散布装置がいつまでも撤去できない。

とらドラ!

本放送時はアニメに興味がなくて観ていなかったパターン。
今春ひとに薦められて、夏から観始めて、週1か十日に1話くらいのペースで観てきて、この度やっと観終えた。一気見とは言えない、ただの後追い視聴。


2008 年放送作品。全 25 話。
ヤンキー面だが優しく気が利く男子・高須竜児たかすりゅうじと、「手乗りタイガー」とあだ名される小柄なやんちゃ女子・逢坂大河あいさかたいが、高校2年で出逢いそれぞれの恋路を応援するため行動を共にするようになった二人が、互いの親友、家族、同級生らを巻き込んでドタバタする学園ラブコメ

薦められるままに、何も下調べなしでdアニにあったから観た。そしたらいきなり監督:長井龍雪、シリーズ構成:岡田麿里の名前が出てきて、あーそれでヒットしたのかーと内容を全く理解していない段階でなんとなく納得。
もっと別の大ヒット作で知られる方々だが、自分にとっては「鉄血*1でずっこけたひとたち」という認識。なのでこの作品も序盤の方は多少穿った目で見ていた。
大河と竜児(タイガーとドラゴン=とらドラ)、二人の想いの矛先が2クールの間、劇中2年間に渡る時間の中で色んなイベントやアクシデントを経てだんだんと変わっていく様が話としての魅力だと思うが、終盤に急展開しつつもある意味予定調和で裏切りのないハッピーエンドで終わったのが良作たらしめている要因なんだろうな。
主人公の竜児が結果的にヒロイン女子三人から好かれていたというのがラノベ原作らしいというかアニメ的というか正直呆れる話だけど、そのヒロイン三人の微妙な友情と絶妙にどろっとした女臭さの書き出し方が岡田麿里らしいなと思った。あ、今気づいたけどこの男2女3の主要人物、で女三人が男二人のうち一人のみに矢印を向けている男女グループの関係って「true tears」と同じだ。のみならず、岡田麿里作品には少なくない設定かも。

脚本ではなく原作のパワーなんだろうけど、主に櫛枝実乃梨の空気読んでんのか読んでないのか時々そのキャラクター性を飛び越えて出てくるような台詞があって、具体的にはどんな台詞だったか覚えていないけども、そんな言葉にハッとさせられることがよくあり、そこが一番面白味を感じた点だろうか。大河に気づきを促したり、終盤で追い詰めていったりといったシーンでの強い言葉は、見せ方のうまさもあって結構泣けた。
この謂わば変人に元々は竜児が好意を寄せていたということでも最重要なキーキャラクターだったんだな。観ていればそんなこと分かりやすいことだけど、堀江由衣のやや掴みどころのない演技がその重要性をぼやかしていた感があった。

あとやはり当然、大河の可愛らしさも外せない、特筆すべき魅力だろう。
00 年代アニメと言えば、ろくに興味のなかった自分でさえ釘宮理恵という女性声優の人気ぶりはなんとなく知っていたほどで、しかしこれまで色んな作品を後追いで観る中でも「アイドルマスター」(765 アニマス)くらいでしかその声に触れその名を意識して聞くことがなかった。その人気の理由、実力魅力のほどは、今回この大河の演技でもって初めて理解できた。
最初はツンツンいけすかない大河の幼女づらが、しおらしいところや暗い内面を見せるにつれ徐々にすべて可愛く見えてくる。キャラクターを見せる話の作りと共に、その要所で絵的にも大胆に髪型や装いを変えて登場したりするのが上手いと思った。またそんな時はだいたい不貞腐れた顔をしているのだが、それがまた可愛らしい。

その他、母子家庭だの家族関係、親子関係の問題も含まれていたようだけれど、べつにそこは大して注目するようなことはなかった。もはやこの社会にはありふれているもの。背が小さいとか顔つきが怖いとか、それらと同程度の、ステータスの差異ぐらいにしか思わなかった。
そういった問題ありきのバックボーンを含めて登場人物のキャラが形成されているのだろうけど、そんなことも当たり前であって、極論すれば話を幾らかよりおもしろくするための一要素として欲しかったんだろうなと。これぐらい極端な共通点が無いとこの屈折した二人はくっつかない、みたいな。或いは原作者の経験によるものとか。いや、知らん、なんでもいい。
とりあえず感想として入れておくべき事かと思っただけ。


全体的には学園ラブコメものの正統派っぽくもあり、古くは「うる星やつら」とかがこのタイプの源流なのだろうが、要するに時代を問わずアニメファンはみんなこういうのが好きなんだろうな。
自分はこの手の学園ものは興味がなくて避けがちだったけど、この作品を知って思い改まったところはあるかも。短いようで長い放送期間の中、一部無駄にも思えるエピソードを積み重ねながら主要登場人物の想いが交錯して変わっていき、それだけ重ねた時間でもって結末に説得力を持たせていくっていうのが、小説を一気に読むのではなくアニメとして時間をかけて観るおもしろさでもあると思った。後に「凪のあすから」でもっと極端にやっていること。単に大河ドラマ的な手法か。だから「大河」、というわけでもあるまい。
気分と暇次第で「うる星やつら」やこの首脳陣が手掛けた「あの花」とかも観てみてもいいかも。

魔女の旅々 4話狂ってる

majotabi.jp


若き魔女 イレイナ が旅をして毎回立ち寄った町や村でのエピソードが各話オムニバス的に語られる作品。

4話「民なき国の王女」は、イレイナが到着した時にはほぼ壊滅した廃墟同然の王都にて、その国の王女を名乗る記憶喪失の女性ミラロゼと出会い、夜な夜な王都を徘徊する怪獣に対処する。


まずこのいきなり立ち寄った町が滅んでいる、でいて大して驚きもせずそこで休息しよう、というのがだいぶ良い根性しとる。
いや、今回結末までも、途中のミラロゼと怪獣のバトル含めてなかなか凄まじい話と描写だったが、正直その顛末についてはべつに狂っちゃいない。こういう作品だ。魔女の存在自体が常軌を逸しているわけだし。


今回の本題は、まずパン。
この回、朝食のシーンに登場する、ミラロゼがその手で焼いて振る舞う、イレイナが食べるパンの作画が、とにかくおかしい。可笑しいと書いた方がいいのか。
キャプチャ画像を貼りたいくらいだが、丸いパンを両手で左右から引きちぎる、そのちぎれていく様が非常に細かく描き込まれている。時間にして2秒か3秒程度のカット、なんでそこまで描き込んだのかとツッコミたくなるほどで、大笑いした。
続けてその隣のベーコンエッグがアップで映るとこれもまた、目玉焼きの端の焦げ具合もさることながら、ベーコンの焼け方、油分のテカリの描き込みがやたらに細かくて笑う。止め絵かと思ったらさらに、それをフォークで突き刺し丁寧に巻いていくという動きもあり、もう可笑しすぎてこの間の会話が全く頭に入ってこなかった。話の理解のためにも二回見返した。
なんでたかだか朝食をここまで描く必要があるんだと笑っていたが、アニメに限らず多くの映像作品においてそうして一見不自然に思えるこだわりが見えるカットというのは、だいたい結末に理由が判明する。今回もこの朝食を作ったミラロゼの、ここに至るまでの経緯にその理由が含まれていた。
いや厳密には、理由が判明するとか含まれているとか、そう考えるのは視聴者側の解釈というかこじつけに近い。でもそう考えなければ、なんであんなカットにフルパワー注ぎ込んだ?という疑問は解消しえない。
今回ここでの解釈としては、要は、愛。ミラロゼの愛、このエピソードを熱く語りたかった制作陣の愛。愛は狂気。ということにした。



もう一点ある。
朝食のシーンよりも前、イレイナとミラロゼが出会ってお互いの素性を明かし、この王都が壊滅した原因が語られる謎の手紙を読むシーン。配信動画では8分~9分の辺り。
二人は窓辺に立ち、画はそこに並ぶ二人を外側から窓越しに正面で捉えており、この時画面に向かって左がミラロゼ、右がイレイナ。
しかし次にカットが横向きになると、画面左側が外、窓を挟んで右側にイレイナとミラロゼが前後に並んでおり、二人は左を向き窓の外を見つめている。前の正面カットからの繋がりで当然そうなるが、おかしなことに二人の立ち位置はイレイナが奥、ミラロゼが手前で、正面カットの時と左右が入れ替わった格好になっている。
続けて背面カットで、室内から窓の外を見る二人を後ろから捉えた画だが、これもミラロゼが左、イレイナが右で、横向きカット同様に正面カットから左右立ち位置が入れ替わっている。
そしてまたすぐ後、再び正面カットに戻ると立ち位置はミラロゼ左、イレイナ右に戻っている。気にせず見ていれば、ただ単にずっとミラロゼが画面左に、イレイナが右にいて会話しているだけのシーンとして流すこともできるが、常々「アニメで描かれる絵には不必要な描写はない」ということを念頭に置いて見ているので、こういうのは非常に気になる。

ただの作画ミスなのか。
個人制作とかサークル制作の同人アニメならこんなミスはあるあるかもしれない。でも多くのスタッフが関わり、作業工程ごとに担当者もその目も異なるメジャーの商業アニメでこんなミスが気づかず修正されないまま放送にまで乗ることがあるだろうか。
SHIROBAKO 知識程度だが、作画の前に絵コンテ、作画の打ち合わせ、作画後には作画監督のチェック、総監督のチェック、動画チェック、諸々工程挟み、動画になった後にもラッシュチェックがあり、ミスを出さないように白箱完パケまでに何重にもチェックが入ることは知っている。
ということは、今回の立ち位置の入れ替わりには意味があると考えるのが妥当。なはず。

どんな意味があるのか。
書き手不明の手紙、王女であり魔女のミラロゼの記憶喪失の原因と王都壊滅の理由が語られるこの時に、その手紙の内容を既知のミラロゼと、ここで初めて読むイレイナ。当初は二人対面、向かい合うかたちで、イレイナは一句ずつ意味を確認しながら読み上げるが、その度にミラロゼは何か含みのあるような顔をしながら次の一句を促していく。手紙の中で「窓の外を見ろ」と指示があり、ミラロゼも無言で窓の方へ手を向けイレイナが外を見るように促し、イレイナは窓辺に立ち外を見る。
流れとして動きはこれだけ。この直後、窓の外に怪獣ジャバリエが現れ、夜だけ現れるそれが王都を壊滅させたこと、今二人がいる王城だけは安全であること、ミラロゼは魔女でジャバリエを倒すよう手紙から指示されていることが語られる。

ここで二人の立ち位置が入れ替わることに何の意味がある?
全くわからない。
見当もつかん。

もう一度、アニメをじっくり見直した。

よく、しっかりと見なければいけない。
窓の外から窓辺に立つ二人を正面から捉えた、ここだけ背面や横向きと立ち位置が逆だと思えるカット。この二人の姿は、部屋の中から窓に映る二人を撮ったものだった。前提の「窓の外から」からして誤解であり、「部屋の中から」のカメラで、窓に映る、鏡面反射のカット。つまり左右反転された描写は全くもって正しく、立ち位置が逆と見ることの方が不自然だったのだ。
正面を捉えた二人の背後に部屋の内装が見えるが、ここにうっすら窓の外の景色もオーバーレイされている。いや、正しくは窓外の景色に室内とそこにいる二人の姿が窓(内面)に映りオーバーレイされているわけだ。窓外と映り込みのクロスフェード、双方のレイヤーの透明度の加減が、素人目には「窓越し」と誤解してしまうレベルなのかもしれない。
恐らくは室内の照明の加減と外の暗さに対して、窓に映るならこれくらいで外の景色にはこれくらい重なるのが自然、といった計算の上での描写だとは思う。しかし窓ガラスを嵌め込む格子状の木枠はあるが窓枠や窓全体が映るカットではないため、窓の外からのカットなのか中からのカットなのか、一見パッと見はとても分かりにくい。
だからこそ立ち位置の違いで判別できるように意図的に構図が考慮されているのだろうし、違和感が伴うように何度かカットも切り替え、窓に映っていると気づけるように編集されている。が、だからこそ、だからこその誤解、でもある。一旦「この見方が正しい、これはミスだ」と認識してしまうと、制作側の配慮など浅薄にさえ思えたりもする。

もしかしたら多くの視聴者は誤解も不自然さも覚えず正しく「窓に映る二人のカット」として認識できるのかもしれない。或いはそんな細かい一切を気にすることなく流すかもしれない。それならそれがいい。前述のパンの件も含めて、自分は今回の話の筋を一度の視聴ではじっくりと読み込むことができなかった。
つかなんで窓に映ってないといかんのよ。カメラワーク的にも窓越しの二人を撮る*1か、部屋の中で窓は別にした二人のカットと外の景色のカットを分けた方*2が話が早いだろうに。窓に映った二人を見せつつ窓の外の脅威も見せるというのは、何か技術的な難しいことをやってますアピールだろうか。*3

しかし面白いのは、正しい解釈である窓に映ったカットではなく、窓越しのカットだと解釈した場合の、イレイナが手にした手紙をミラロゼが引き取るところ。
横向きのカットで画面奥(左)にいるイレイナの手にある手紙を、手前にいるミラロゼが右から取ったかと思うとその瞬間カットが問題の正面窓に替わり、左に位置するミラロゼの手に手紙が入る。
手紙の移動としては、左から右に取られたかと思った瞬間左に戻っているという、ジャン=ピエール・ポルナレフばりに何を言っているか分からねえ状態。魔女の為せる業。


雑な作画ミスの指摘として終わらせてしまうところだった。
適当に見ていちゃいけない、という教訓にもなった。
でも適当にもなる。1クール20本視聴はきつい。
こっちこそ狂ってる。

*1:この窓の位置で外から撮るにはクレーンを用いる必要があるため制作費が嵩む可能性が高い。

*2:撮影時間、タレントさんの拘束時間、編集の手間でやはり制作費が嵩む可能性が高い。

*3:邪推。