BINTA

BOOTSFIGHT IN THE AIR

カードサバイバル 六人目

角倉志二夫(かどぐらし・ジョー)

一夫の弟。四十代、会社員。
例の無人島五人目の死者となった兄の後を追い~云々

などと前回に続くでっちあげストーリーを適当に書き連ねることは容易いが、連載小説仕立てにしたいわけでも物書きになりたいわけでもなく、あくまでもプレイ記録なので、前置き省略。
勢い小説風味に書き始めたら妙に文が乗って先々かなりの長文になってゲーム本編がおろそかになって本末転倒しそうな気がしたから趣旨を正したというわけではない。


兄の後を追い鰹つゆ。
次男ジョーの無人島生活が始まるのだった。



1日目

出落ち。平凡な会社員だもの。しっかりせんかジョー。
ジョーって呼びたいだけ。ではない。



6日目

野草茶を幾らかすすって初日の怪我は完治した。



8日目

兄や先達の遺した記録を頼りに、無理をせず安定した暮らし。



12日目

順調順調。
寝ると腹が減り喉が渇く。寝る前にしっかりと食べ、起きたらまた食べる。そのために毎日ある程度の食糧確保が必須となる。それを心得て行動していけばまだまだなんとかなりそう。狩猟が空振らなければの話。



14日目

兄が息絶えた12日を余裕で超した。
まだまだ何かと不都合は多いが、一日一日を健全に生き抜くことが大事。


雨の日には虫が出ないのでジャングルを探索。晴れたら浜辺を探索。
住処に時折やってくる鳥を仕留め、海で魚を捕り、ココナッツで口直ししたり、水は雨水を貯めて、といったようなことをルーチンのように繰り返した。



25日目

雨に恵まれ、周辺探索も進み、兄の生きた倍の日数を超えた。
雨風日照りをしのげる簡易な小屋もできた。まだまだ余裕がある。



27日目

ジャングルを抜けた先、草原に出た。
しかし住処から少し遠く、適当にほっつき歩くのは怖い。
無難に、すぐに引き返した。



30日目

ひと月になるか。よく生き延びたものだ。
色々とやれそうなことは思いつくが、食糧確保が心許なく、狩猟ルーチンのためにその他資材の確保やクラフトが思うように進まない。だが焦ってはいけない。無難に。

前日、イノシシに出くわした時、兄のように立ち向かうことなく即座に逃げたけれど突進をかわせず軽い傷を負った。余裕なんて生存性バイアス。無難も綱渡りなのだ。


葉っぱの包帯で夜には傷が治った。



32日目

朝起きたら大雨。
しかし今日明日の食糧が不足気味。風雨の中ジャングルを進むと一帯を探索し尽くした。収穫はいまいちだが引き返すことにした。天候と疲労のせいで時折進めなくなることもあった。酷くなる前に帰途に。


その夜

強風が住処周辺の浜辺を襲った。
魚を焼いたり食事はなんとかなったが、風の被害を案じて幾らかの物資を小屋の中へ仕舞い込んだ直後、猛烈な風で行動が遮られ、外に出しっぱなしの資材が吹き飛ばされ始めた。
乾燥ラック、機織りはほぼ未使用のまま失ってしまった。

風が一旦弱まったところで残る資材をなんとか確保しようとカゴや小屋に入れられるだけ押し込んだが、闇と風よりもそれらの容量の小ささに泣かされた。
渋々自分の身に持てるだけのものをずっしりと抱えて小屋に這い入って、あとは強風の音に怯えながらもうどうにでもなれと不貞寝。



33日目

朝。天気はぐずついたまま、しかし強風は止んでいた。
葉っぱ造りの小屋は当然傷みが来ていた。


外に出て被害の確認。
火おこし器を失った。また作ればいいが、長らく使い込んだ愛機だった。


同日午後

昼に海での槍漁でウミヘビに噛まれて毒をもらった。
解熱の薬草を取ってきたが、その採取行動により発熱、夜になって危ない気配が。このサバイバル始まって以来のピンチ。

槍の技量は上がっているはずなのに、なぜ初期に難なく捕れたウミヘビに今になってやられたのか。慢心、環境の違い・・・。

どうしたジョー。負けるなジョー。



翌朝

薬草が効いて持ち直した。


って、おい。

どうしたジョー。なにやってんだジョー。


同日午後

ソリができた。
これで他の場所からたくさん資材を運んで来れるぞー、と喜んだのも束の間。ソリにたくさんの物を乗せると重いソリができあがる。それを引くのは自分であり、たくさんの物を持てない自分にたくさんの物を乗せたソリを引くのはしんどい。当たり前の自然の理だった。

重いカゴを背負って歩くよりは多少融通が利く、だろうか。使いようか。



35日目

二~三週間くらい見かけなかった飛ぶ食糧、もといカモメが久々に飛来した。


続いて逃げる肉、もといサルもお越しくださった。ゆっくりしていってねっていうかさせてあげるよ。


計らずも食糧が充実したおかげでビーチの探索がはかどり歩き尽くした。



つづく。

カードサバイバル 五人目

角倉志一夫(かどぐらし・かずお)

自称冒険家。四十代、無職。
ある無人島への取材に旅立ち消息を絶ったテレビ局関係者Yと付き合いのあった男。「例の無人島に行ってみる。二週間経って俺が戻らなかったらまあ笑ってくれ。後を追って探したりするな。」といった言葉を残してYが連絡を経って一ヶ月。
中略。冒険家の血が騒ぐ。Yを探しに後を追った。


・・・・・


前例四人の報告書の内容通り、島に着くと準備してきた物資はなぜかすべて消えていた。冒険家の血が騒ぐ。そう来なくてはとばかりに意気揚々と原子生活を始める。

調査・報道されていたYの9日間の生活の様子から学び、まずは5日、問題なく生き延びた。よくよく自分の体を見ると素っ裸ではなく、なんなりと身に着けているものがあった。

◎左パネルのキャラクターアイコンをクリックすると装備が確認できた。
水とわずかの食糧を入れた小物入れがあることに5回目のプレイで初めて知った。サンダルはこの5日目までに作った。



中略



8日目

Yが苦しんだ9日が近いが、ここまでは順調。
水は雨水に恵まれ、食べ物も問題なし。

冒険家の血が(
なんて余裕が生んだ慢心。

酷い手傷を負った。
鳥や猿を楽に狩れるようになったので、森で見かけたイノシシもいけるだろうと槍を振るった。が、自然を怒らせてはならない。こちらの軽々しい一手に激怒した奴の反撃、突進をかわせず手痛いしっぺ返しを食らった。

急ぎジャングルで拾集した葉で包帯を作り応急手当。
しかし腕の骨折がきつい。慌てて副え木の作り方を考えたが(研究)、すぐには作れそうにない。何を作るにも、行動するだけで激痛が止まない。



10日目

副え木はでき、痛み止めの薬草も湯に煎じて飲んだが、相変わらず激痛が止まない。少し動くだけで疲れてしまう。傷はともかく、腕の骨折が治らなければお先真っ暗。



11日目

痛みと不快感から嘔吐するようになった。熱も出ている。
食糧、水、明日・・・。

























カードサバイバル

Card Survival: Tropical Island

偏屈ゲーム好きな人々の間で局地的に人気らしいサバイバルシミュレーションゲーム。ビジュアル、UI がチープ、雑なスマホゲー感、全体的になんか、といった理由から、存在を知った時に食わず嫌いの拒否反応が出て敬遠しかけたが、デモ版があったのでちょっとやった。ひと月ほど前の話。
デモ版は日本語無しで英語でのプレイだったが、それなりに進めることはできて感触は掴めた。買ってもいいかなとも思った。その後、諸々中略な日々を経て、昨日セール価格になっていたので買った。


イントロダクションも何もなく始まる無人島サバイバル生活。
前置きや話の流れは昨今他のゲームでおなじみのそんな感じですよわかるでしょ、とでも言わんばかり。浜辺からスタートして、移動、採集、クラフト、研究、体調管理など、プレイにまつわるすべてをカードの収集&選択で行う、カードやアイコンの動き以外にまともなアニメーションなど一切ない作風。だがそこが良い。いや、それで良い。

基本はローグライクサバイバル RPG 風味。
キャラクターの移動や動作が完全省略されていることでゲーム性は生存と生活の行動のみに振り切られている。純粋なカードゲームというよりは、昔のゲームブックの進行状況をカードで管理するような感じ。
カードの一手が一行動、つまり1ターンみたいなものなので、見方を変えればこれは Wild Darkness のゲーム性にも似ており、正直その感覚で気に入ったところはある。

ローグライク、パーマデスで死んだら終わり。
育ててきたキャラクターデータはロストするし、次回プレイには何も引き継がれない。前回プレイで得たプレイヤーとしての知識は次に活かせるが、多少カードドロップ運があるので同じプレイができるわけではない。
何もわからずに始めると非常にシビア。だが、ある程度類似ゲームを経験していれば、ただの石や木に何ができるかは多少想像が付く。その想像や予想を頼りにカードを重ね合わせたり適当な選択をしていけば、なんとなくやっていける。
反面、「あんなアイテムがあればあれができそう」という知識はあってもそれの入手方法が一向に判明しなかったり運悪く入手できなかったりすることもあり、もどかしくもがき続けることもある。いや、そこが面白さだろう。ネットを探れば解決策や解答は容易く見つかる。それじゃあ面白くない。サバイバルシミュレーションなんだよ。「わからない」によりリアルに惑い、「何をするべきか」をよりリアルに考え、体調の不良に飢えに渇きによりリアルに苦しむ。
カード形式の疑似表現だからこそキャラクタービジュアルで見せるのではない、自分好みのイマジナリーサバイバルが楽しめるというもの。


なんて話は毎度のことどうでもいい。


これ、ところで、久々にプレイ記録を書きやすいゲームかもしれないと思った。

まずは初回プレイ。
開始時に選択可能なプレイアブルキャラクターはゲームを進めていけば増えるらしいが、最初は「ハンター」というひげおやじのみ。

で、そいつの結果。

英語デモ版を経て、日本語初プレイ。
生存3日の脱水死。恐らく全プレイヤーの半数がそんなもんだろう。
『ジャーナル』って何かも知らず開かず、どこをスクショするべきかなんて考えもプレイ記録を書くつもりもなくやったのだった。

人は彼を『プライ丸』(姓不明)と呼んだ。



二人目。



プライ丸の消息を追ってきた『セカン堂』(姓および血縁不明)。
一日長くは生きたが同じ脱水死の轍を踏んだ。



三人目。



クモに噛まれかけたけど大丈夫だったサードさん(本名、素性不詳)。
やはり同じように脱水死。海以外の水場はないのかと嘆きながら海水をすすり右往左往、ジャングルの中で息絶えたとか。



四人目。









初の7日、一週間を超えて9日を生きた『ヨンちゃん』。
ドキュメンタリー系テレビ番組制作スタッフ。本名不明。勤務先テレビ局があだ名の由来とのこと。担当番組絡みで得た情報を元に戯れにサバイバルを始め、湿地を見つけ水場を探し当てたり、猛禽や獣を果敢に仕留めたりと、過去三人よりも順調かと思えたが、三~四日で息絶えた先立の僅かな情報だけでは如何せんテレビ関係の都会人、長くは持たず前例にならって脱水死。

6日目に足を骨折、試行錯誤時間を掛けて副え木を作ったものの既にその時その足では水を求めて進むこともままならず、後は語るべくもない結果となった。



みたいな感じで、その場の思いつきのでたらめ文を入れつつ何か書いていくかもしれないし、これが最終回かもしれない。

サブタイトル「Tropical Island」と付いているのは、同内容でテーマや舞台の異なる続編の発売が決まっているかららしい。次回記事を書くのが先か、続編の発売が先か。はたまた続編を待つまでもなく飽きるのが先か。

あ・ん・こ

書くほどのことがない日々。
はてなのお題に乗ってやろうと思ったが今週は「あんこ」ってまたつまらない。

ならば「お題を探す」のページから何かひとつ選んで、と思ったけどこれまたどれもつまらない。そこで、戯れにこの中から「あ」「ん」「こ」のいずれかで始まるお題のみをピックアップして適当に書き並べていくことにした。

無理に何か書く必要もないけども。まあなんか。


『相棒にしたいポケモン

ブリーフポケモンの「キバミン」か「チャバミン」。
ポケモンのことなら詳しいんだおれ。


『この曲、心がささくれてる時に聴くと良いよ!』

ダミアン浜田陛下の「嵐が丘」。
Damian Hamada's Creatures のではない、原曲オリジナルバージョン。
心がささくれてるて何?


『愛用のカメラやレンズ』

ヨドバシカメラ。年に一回か二回は使う。
カメラにはうるさいんだおれ。


『高校生に戻ったらしたいこと』

ないが、あったとしてもやらないかできるとも限らない。面倒臭い。
人は変わらない。


『子どもの頃に勘違いしていた、ちょっと恥ずかしいこと』

毎日のようによく遊ぶ親友だと思っていた子がいたが、彼にとっての私は彼の同級生の一人に過ぎなかった。と二年近く気づかなかったこと。
家が近く、暇が合い、ファミコンの2Pにほどよい NPC 的存在として使える奴、というだけだった。何かそう言われたわけでもケンカしたわけでもなく、彼の周囲、人脈を傍目に見て気づいた。
そんなこととは関係なく、その気づきからほどなくして私は転校してしまって、以後連絡を交わすことはなく、実際彼が私をどの程度の者として見ていたのかは知る由もない。


『これまで生きてきて「死ぬかと思った」瞬間はありますか?』

はい。


『あなたの好きな麻雀の役を教えて!』

一発。


『秋といえば!』

吉契里。


『新しい手帳に切り替えるタイミング』

新しい手帳をこの日から使おうと決めたその日の朝か、前の晩とか。切り替え忘れたらその日の晩か次の日の朝。
バッグなりなんなり、手帳を入れているものを開けて、古い手帳を手に取ってそこから出して、新しい手帳を手に取って、←ここ。タイミング。


『この前読んだ本』

少し前に漂流教室を読み直したのが最後。


『この家族に生まれてよかったと思ったこと』

ない。


『あなたの「自分軸」って何ですか?』

「自分軸」ってなに。問いがわからない。


『子育てに買って便利だったものといらなかったもの』

給餌器は必須。自動掃除機は便利だが電力の取り回しがちょっとね。
孵卵器、動物ハウスはべつになくてもいい。
毛刈り端末、動物センサーは子の種類によって適宜。


『「これぞ青春の味!」と思う懐かしい味はありますか?』

はい。


『雨の日の過ごし方』

万一外出するなら傘をさすがそれ以外はべつに。


『あなたの利用しているサブスク(サブスクリプション)は何ですか?』

ライフライン系諸々とアマプラ。
あとPC買った時に付けたセーフティサービス保証みたいなやつ。


『心に残っていることば』

ここに書き残したくない。


『雨の日に聴きたい曲は・・・?』

バミリオンプレジャーナイト(片桐華子)の「愛の歌」


『あのアニメのこのシーンが好き』

イデオンテレビ版、バッフクランの面々各々の最期。
いずれも断末魔の絶叫が他では味わえないものばかり。


『あなたの愛車(車、バイク)』

都バス。


『この季節になると食べる(食べたくなる)ものは、何ですか?』

パン。


『あなたの笑顔の源は何ですか?』

お金。


『あなたが考える100年後の生活』

ゲーム内の架空都市で暮らす貧相なキャラクターとして残っていたらい。いやだな。


『朝ご飯はパン?ごはん?』

国語の問題だとしたら「朝御飯」=「ごはん」と答える。
朝に食べるものを訊かれているのだとしたら、まず正確に質問し直せと返す。
そういうのいいから、などと言われたら、「ごはん」と言う。
ごはん。


『あの日は死ぬほど笑ったのにまた見たらなんだこれってなったやつ』

おまえのツラ。




お題ページを開く時によってラインナップは変わるが、自分が開いた時点で該当するものは以上だった。
「ん」で始まるお題は無かった。


たっぷりホイップあんぱんが好き。

おしまい。

うつつ雑感 243月の2

最近のゲーム

Island of Insight
エラーなくできるようになってまた毎日のようにやっている。が、メインストーリーらしきものの終点に辿り着いて以降、すっ飛ばしてきた数多の脇パズルを埋めていく作業になってきて、飽きつつある。パズルなんてゲームなんて、始める前は一万あったら一生遊べると心躍るが、千あろうが万あろうが百で飽きたら終わり。

バパバ
バックパックのバトルのやつの略称。を考えた。
暇が減り気味であまりやっていない。

Builderment
以前ウィッシュリストに入れてセールを待っていた。セール価格になったので購入。スマホ版同様にハマるかと思ったが、なんというか、スマホでやるからこそ楽しめるゲームってあるよね、という感想となり30分程度でやめた。時々よっぽど暇な時にはやるだろうがでハマることはなさそう。レビューの評価は正確であった。

Valheim
発売当初から微妙に魅力を感じつつも流行りを嫌う天邪鬼、今般衝動買いした。Wild Darkness みたいなのがやりたくて。やってみたらその願望に適うタイプではあったものの、おおまかな情報のみで詳しい遊び方を知らずに進めて、とりあえず木材と岩を集めておうちを建てて、までのゲームとして一旦終了。
Wild Darkness が PC でやりたい。そう思った。

ほか
ウィンターセール中に幾つかデモ版などやったが購入には至らず。



最近の耳
依然ダミアンハマダズクリーチャーズばかり聴き続けている。



最近の目
ストグラがおもしろくて目が離せなくなりつつある。観始めたきっかけはちょっと前に活動終了したブイチューバーの最後の配信をたまたま観たことだったが、そこからストグラってなに?からシステム周りや世界観など色々調べて知り学び、RP(ロールプレイ)とドラマ性の面白さを理解し、登場人物が基本的に全員配信者ということもあり如何せんアーカイブや切り抜き動画の数も凄まじいので、掘り始めるときりがない。
アマプラの映画など観る暇はなくなり、毎晩生配信を2窓3窓流していると遂にはウェザーニュースも二の次三の次でほとんど観なくなった。

『リアリティーショーの一種』と簡単に括ることはできるが、なんかそれだけじゃない、凄く新しいものに触れている感覚がある。世の中的に新しいかどうかは不明だが自分にとっては観たことのなかったもの。
出演者 = 配信者は当然皆基本的に演技の素人だろうし、それぞれが役名をつけて別人格を前提としているとはいえ多くはゲーム配信者の生の振る舞いそのものであり、ノリや口調に芝居掛かったところなどなく、当然そこに台本などもない。当然アドリブだし、監督などいないし、時に配信の主キャラクター自身は何分も喋らないことだってある。
その一方、その世界の中のキャラとしては無言だが配信者としては独り言をこぼしたり視聴者コメントに触れたりすることもある。ドラマ的には1キャラクターのモノローグみたいなものと解釈できるが、感触としては芝居中の役者がキャラクターではなく役者自身の心の声を漏らしている感じ。それが板の上にいるキャラクター全員それぞれに同時に行われ、別々のカメラとマイクで録られ、それぞれ異なるチャンネルで流れている。実写でやろうとすると凄まじく大規模なライブビューイング企画になりそう。企画としてもすごいけど、そこまでのことができるゲームっていうのもすごい。

土台のゲームである GTAV がやってみたくなって手を出してもみたが、それはそれで全然別物で自分に合うものではなく、それでも町中を車走らせるだけの序盤のミッションに5時間かけてしまって Steam の返金対象条件を失い無駄遣いに終わった。
だが、どういうゲームがベースにあり、ストグラ参加者それぞれが何をやっているのかはぼんやりと理解できた。

犯罪上等のゲームなので街のドラマとしてもその方面が本編的ストーリー性を帯びている。しかし街をその方向性に動かすのもプレイヤー次第で、犯罪を起こすのもプレイヤーなら阻止したり撲滅に動くのもまたプレイヤーで、被害に倒れるのも後片付けに奔走するのもまたプレイヤー。時に一人のちょっとした行動や言動が波紋を呼び、街全体の主軸から外れた人々にもそれぞれの主軸があって、全く接点のないはずのキャラクターが意外な部分で繋がっていたりする。
ある種の偏った人間社会の縮図がそこにあって、人と人とが関わり合うおもしろさ、和とか信頼とかの難しさ、輪になることの偶然性、必然性など、そこいらのドラマやアニメでは到底敵わない生きた面白さがあちこちに溢れている。団体の末端構成員ひとりを追うだけでも、妙な見応えがある。時もある。そうでない時ももちろんある。
街のプロデューサーは居てもディレクター、脚本家その他、プロデューサー以外のスタッフはいないも同然。極めて人生そのものに近いけど必ずしもプレイヤーその人そのものを出せばいいわけではない、そういう世界。うまくやれる人も居ればぐずつく人もいる。でもそのどちらでもおもしろい。

ゲームというメディアがテレビ番組や映画等と並ぶエンタテインメントとして比較されるようになって久しいが、このストグラのようなかたちが、ゲームメディアのひとつの究極形なのではないかとすら思う。
作中の主人公を操作できる、というだけだった時代はもう終わった。作中の要素全てに各々個別のプレイヤーが関わり、そのすべてを第三者が観測できる、というところまで来た。それがこれだ。
「マリオを操作してワールドを駆け抜けクッパを倒しピーチ姫を救う」というだけだったのが、「飛び出してくるマリオの足元をすくうクリボー」にもなれるし、「障害物を配置する土管屋」にもなれるし、「収集されるコインを管理する銀行員」にもなれるし、「子分も使ってマリオを阻むクッパ」にもなれるし、「マリオを待ちながらどうにか無事に過ごすピーチ姫」にもなれる。ゴールの旗を上げたりエンディング演出を仕掛けるイベント屋にもなれる。

こういうゲームと呼ぶべきか何と呼ぶべきかわからないけど、同種のものはもっと出てきそう。だが、幾つものゲームでそれぞれに世界とドラマを作り出すには、配信者の数が足りなくなる。配信者でない人だけで作り上げてもそれはそれで楽しいだろうが、それはただのゲーム内交流企画であり、そこには「多視点同時進行ザッピング」って第三者視聴スタイルはないので、きっとこの独特の面白さも成立し得ないだろう。
あとスターデューバレーみたいな世界観でやるとただの出会い系みたいなことに成りかねない。犯罪都市ベースのストグラがたまたま上手くいったか、或いは参加者に恵まれたか、ぐらいに思っておいた方がいいかもしれない。

かなり難しいとは思うが実写でこれをやったらきっと物凄いだろう。実写ではトラックで相手を跳ね飛ばすとか数百メートルの高層ビルから戯れに落下して大爆笑とかできないだろうからストグラ実写版は無理だろうが、何か別の有り物の映画なりドラマなりの世界観や設定で。主役格や役名付き脇役のみならず、本来巨大怪獣に踏み潰されて消えるだけの画面隅のモブに至るまですべての登場人物の生活を有名役者が台本も演出もなしで即興で演じ、それぞれにカメラを付けて、毎日数時間全100チャンネル、2クールか1年くらい放送し続ける番組。ネット配信でならできなくもなさそう。観る方より演る方が先に飽きそうではある。

など。
とにかくしばらくストグラ世界の視聴に飽きそうにない。
ゲームの進捗が芳しくないのもこのせい。